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1) 吸排気弁

(1) 構造と機能

弁は,弁機構により開閉され,空気を吸入し燃焼ガスを排出する。また,シリンダ内の気密を保つ機能をもっている。一般の4サイクルエンジンに使用されている吸気弁形状は,吸気ポートの形状と関連し,吸気抵抗が小さいことが望ましい。また排気弁材料は弁が600℃〜800℃程度の高温になるため,熱伝導がよく,高温に対する耐久性の優れた材料が望まれる。一般にはキノコ弁(ボペットバルブ)が広く用いられているが,キノコ弁は傘部の形状によっていろいろな名称が付けられている。マッシュルームタイプはSAEの標準型で,中心部の強度を考慮し,ヘッド部を球面としている。この形式の弁は主に低速ディーゼルエンジンに用いられるが,重量および受熱面積が大きくなるのが欠点である。

また,フラットヘッドタイプの弁は,マッシュルームタイプの欠点を除き,製作も容易で最も広く用いられている。排気弁は吸気弁と異なり,絶えず高温の排気ガスにさらされるため,特に高温強度が要求される。

弁の数は一般には吸気弁,排気弁を各1個ずつもつ2弁式が多いが,特に高速性能や高出力を望む場合,充填効率を高めるため3弁式あるいは4弁式が採用される。4弁式の場合,2弁式に比較して弁の総開口面積は30〜40%増加するが,弁の総重量は10〜15%増加するほか,弁装置が複雑化する欠点がある。

燃焼ガス温度は瞬間的には2,700℃にも達し,この温度は鋼の溶融温度(1,500℃)よりもはるかに高いので,弁は高温時強度低下の少ないクローム鋼,オーステナイト銅などの耐熱鋼が使用される。耐熱鋼は加熱しても成型加工が難しいため,型打鍛造,

 

 

 

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