日本財団 図書館


測定位置と同位置同方向で内径を測定する。摩耗量やクランクピンとのスキマが使用限度を超える場合はメタルを交換する。

(ハ) スラスト軸受

主軸受キャップを分解する前にクランク軸端(計測し易い所)へダイヤルゲージを当ててクランク軸を軸方向へ軽く動かし,スラスト方向のスキマを測定する。スキマが使用限度を超える場合はスラストメタルを交換する。スラストメタル摺動面の傷やまくれ,亀裂を点検し,ひどいものは交換する。

(ニ) 主軸受ボルトおよびナット

スタッド又はボルトのネジ山がへたったものやボルトが伸びているもの(ピッチゲージで点検)は交換する。主軸受メタルが焼損したものはボルトの伸び,曲り,ネジ山などが損傷している恐れがあるため交換する。ロッドボルトのように遠心力が加わって引張り力が増大するような箇所ではないので使用時間による限度は設けていないがメーカで指示された分解回数に達したものは交換する。

 

3) 連接棒

(1) 構造と機能

連接棒はピストンピン部に連結される小端部とクランクピン部と連結される大端部およびこれを結合する桿部より構成されており,小端部はピストンに,大端部はクランク軸にそれぞれ連結され,ピストンの往復運動をクランク軸に伝え回転運動に変える役目をしている。又連接棒は機関部品の中では最も大きな変動荷重(圧縮,引張りの繰返し)を受ける,曲げ作用も働き熱や振動も加わるため,中高速エンジンでは桿部断面がI字形の形打ち鍛造品(炭素鋼鍛鋼品:ニッケルクローム鋼など)を用い,鍛造後熱処理を施し,十分な強度をもたせている。なお,低速エンジンではフリー鍛造で多く作られている。中高速エンジン用連接棒の形状および構成の1例を2・34図に示す。

058-1.jpg

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION