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然それぞれに対応する危険速度が存在する。しかし多くの場合は最も低い横振動数に対応する危険速度のみが問題となる。この現象で注意しなければならないのは,この現象は力学的不安定現象であり,振動に減衰を与えれば防止できるとか,危険速度でのふれまわりを小さくおさえることは本質的に不可能である。軸にのっている,質量を減ずる,ベアリング間隔を短くする,軸の曲げ岡け性を大きくする,すなわち軸を大くするなどの系の振動特性を代えてfLの値,したがってncの値を変更する以外にこの現象から逃れる方法はないことである。

なお,数値例として, l=1,800 mm,M=5.0 kg,軸径d=30 mmの場合を考えると,I=3.97×104 mm4となるから, E=2.06×105N/mm2を用いると, K=67.4N/mmであり,p=1161/sすなわちnc=1109 rpmとなる。

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4.材料の強度と破壊

4.1 応力とひずみ

1)垂直応力

長さL,断面積Aの棒の上端を天丼に固定し(補・40図(a)),下端に下向きの力を加える。棒は引張られて伸びると同時に内部に内力を発生して外力に抵抗する。外力を増加して行くと伸びも増加し,遂には棒の材料が抵抗しきれなくなって断面が破断する。このような現象を追いながら材料力学に現れる述語を定義しよう。まず,力がP(kgf)になったとき棒の長さがL′になったとする。下端で下向きの力Pを受けている棒は,上端で天丼をPの力で下方に引張っている。作用・反作用の法則より棒は天丼からPの力で上方へ引張られている。したがって,棒全体に外から作用する合力はゼロとなり,釣り合いが保たれている(補・40図(b))。任意の断面ABより下の部分に注目する。もし,この断面を通して,上の部分がこの部分に何の力も及ぼしてないとすると,ニユートンの運動方程式P=mαに従ってこの部分は加速度αで下の方へ飛んでいってしまう。ここでmは考えている部分の質量である。したがって,この部分が静止しているた

 

 

 

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