バルブクリアランスの調整不良,カム山及びタペットの摩耗などにより,バルブ夕イミングに狂いを生じると出力不足となり,排気ガスが黒色となり悪化する。
a)バルブクリアランスの調整不良
基準値より減少すると,弁開時期が早くなり,弁閉時期が遅れる。また運転中の熱膨張により,バルブクリアランスが,更に減少し極端な場合は,バルブが突き上げられて,閉じなくなる。
バルブクリアランスが大きい場合は,弁開時期が遅れ,弁閉時期が早くなると共に,作動時の衝撃が大きく摩耗を促進し,騒音を発生する。
b)カム山及びタペットの摩耗
カム山やタベットが摩耗すると,バルブクリアランスが,大巾に増加して弁開時期が遅れ,弁閉時期が早くなると共に,弁リフト量が減少する。従って大巾に出力が低下するので,排気ガスが黒色となり悪化する。
C)バルブの突き上げ
バルブクリアランスがなくなり,バルブが突き上げられると,ピストン頂面との干渉,圧縮不良,ガスもれとなるほか,バルブの熱伝動が悪化して,傘部が溶損したり亀裂を起こし,大事故を誘発する。
d)吸気弁の開閉時期の狂い
弁開時期が早過ぎると,燃焼ガスが吸気管側へ逆流して,バックファイヤを生じ易くなる。
弁開時期が遅れるとオーバーラップが不足するため,シリンダ内のガス交換が不十分で燃焼不良となり易い。
弁閉時期が早過ぎると,十分な吸気慣性が得られ難く,酸素不足による不完全燃焼となり易い。
弁閉時期が遅れると,圧縮もれを生じ易く,十分な圧縮圧力が得られず,始動不良や出力不足を生じ易い。
e)排気弁の開閉時期の狂い
弁開時期が早過ぎると,燃焼エネルギの損失が増力日して出力不足となり易い。
弁開時期が遅れると,燃焼ガスの排気損失が増加して熱効率が低下する。
弁閉時期が早過ぎるとシリンダ内のガス交換が不足し,排気ガスが残り易くなる。
弁閉時期が遅れると,吸気不足となる。
f)オーバーラップ
吸気弁,排気弁の両者共に開いている期間が設けられており,これを弁のオーバーラップ時期と呼んでいる。オーバーラップする期間の長短は,その機関のガス交換を行なう上で,重要なタイミングであり弁開閉時期が狂うと,オーバーラップ期間が狂い,ガス交換が不十分となるので,出力が減少する。