?V 調査を終えて
2ヵ国を調査して、感じたことを以下に記す。
(1) ノルウェーの産官学共同について
MIS/MITSに見られる産官学共同は、外見はそれぞれの組織がよく協力していて、一つのひな型となるように感じられる。しかし現実は、海運産業の重要性が他の国と異なり、飛び抜けていることもあり、日本的に見れば、国家プロジェクトの様相を示していると位置づけた方が自然であろう。
(2) MIS/MITS関係の調査
?@ 事前に質問項目を送付したことは、結果的に功罪半ばといった先方の対応といえよう。質問項目を関係者で、きちんと受持ち分担を定め、説明メニューもきちんと用意して、それに従って説明が実施されて、極めて効率的であった。
?A 調査の主題がMIS/MITSであることは十分理解されているはずが、あまりにも説明者が多かったり、説明メニューが多かったりした傾向が若干ではあったが見られた。
?B 調査事項で答えにくいものは、積極的に答えていなかった。おおきなプロジェクトの成果を国際的に認めてほしいとの考えの現れとも受け止められる。
本質的にもう少し地道に検討してはどうかとの質問に対して、成果がまず必要であるとの答えがその辺を物語っているようである。
?C MIS/MITSに関連して、DNV、NorcontrolおよびMARINTEKがそれぞれの働きをしているが、それぞれの思惑があり、その点に接することができたことでも、調査の意味があったと考える。
(3) 英国の調査
?@ 英国の海運界の悩みの一つは、労働力の再生産がうまく行かなかったことであったようだが、地方からの労働力の供給が見られ、つぎの段階に入っていくようである。
?A 日本の状況を知って、10年以上前の英国と似た状況にあることで、一人ではあるが対応者が、安心し、若干誇らしげに日本も同じ道をたどっているとのコメントを出していた
?B 船舶・陸上の通信に関する事項はあまり期待していなかったが、NEPTUNEの存在を掘り出したことは、それなりの評価できるであろう。
?C SSYの活動の中に、ベンチャービジネスの一つの見本をかいま見た感を深くしたと同時に、日本でのかかる業務があまり企業化されていないことに一抹の寂しさを感じさせられた。