6. 森づくり協議会の役割と公園の管理運営システム
6-1 森づくり協議会の役割
公園が市民の憩いの場、体験の場、学びの場として有効に生かされるためには、それを管理運営面から支える「森づくり協議会」がスムーズに機能しなければならない。そのためには、協議会の責任の所在を明らかにし、管理運営の体系を整え、構成員の役割を明確にすることが最初のステップである。
1) 協議会の責任の所在
東京都町田市に、ひとつの公園の管理運営を、市からの業務委託というかたちで市民のボランティア組織(かしの木山自然公園愛護会)が行なっているところがある。公園の面積は約4.7haとさほど広くないが、歩道の整備、森の管理、草刈り、施設の補修、自然観察会や講座の開催、資料展示、会報の発行、常駐管理人の雇用など、すべてが愛護会の手づくりで運営されている。公園に対する愛着と管理運営自体を楽しんでいるという雰囲気があり、市民参加型を越えた、市民の手による公園づくりの先進事例として注目される。
これはひとつの理想的なシステムといえるが、眺山丘陵にこのようなシステムを導入することは難しいと考えられる。市民の意識の熟度や活動への時間的な融通性などが未知数であり、可能性が見えないからだ。
このようなことから、当面は行政の責任で音頭を取り、協議会をまとめていくことが現実に則した方法といえ、市民も参加しやすくなる。しかし、「公園計画の前提」で指摘したように、行政による管理は人手や人材に限界があり、現場の細部まで目の行き届いた対応ができないのが現実だ。したがって、可能なら弾力的で小回りのきく活動ができる民間や組織に管理委託することが望ましい。将来的に活動が軌道に乗れば、その時点での状況をみて、「かしの木山自然公園」方式にするなり、第三セクター等の組織にするなりして管理運営の責任を移行すればよい。
2) 協議会の活動体系
協議会の事務局は、最終的には公園のセンター施設に置くが、活動が軌道に乗るまでは行政の担当セクションに置く。
協議会の活動は大きく分けてふたつある。ひとつは公園計画や管理運営方法の提案、協議、決定、確認などの計画・運営の議事に関する活動。もうひとつは公園の管理、センター施設の運営などの実質的な公園の管理運営に関する活動である。
計画・運営の議事に関しての活動は、事業の決定と協議会の合意形成を図ることにある