は じ め に
山形県川西町は、かつてイギリスの探検家イザベラ・バードがアルカディアと絶賛した地である。豊かな水と清涼な空気に育まれた自然が、その魅力である。
本調査の対象である眺山丘陵は、マツタケなどの産物や貴重な動植物の宝庫として、地元ではよく知られていた。この丘陵から昭和58年に古墳が発見され、川西町としても町有地として保護するとともに、町民をはじめ広く公開するために公園整備を行う構想を持つに至った。そのためには、保護されるべき貴重な動植物や古墳群の現況を把握し、環境を保ちながら活用計画を策定しなければならない。本調査は、古墳については既存調査を活用し、現段階で把握されていない植物・昆虫と特にこの丘陵を特徴づけていると考えられる湿地の調査と公園計画を実施した。
観光資源保護調査は、財団法人日本ナショナルトラストにより昭和46年度から全国の貴重な自然や文化財などを対象に実施され、観光資源の保全・活用の提言を行っている。これまでに、その数は全国で約180件にのぼっており、「眺山丘陵と下小松古墳群」調査は、平成9年度の観光資源保護調査のひとつとして実施されたものである。
最後になりましたが、調査にあたっては、川西町の皆さん、川西町役場、関係者の皆さんに大変お世話になりました。記してお礼を申し上げます。
平成10年3月
「眺山丘陵と下小松古墳群」調査委員長 麻 生 恵