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野 中  それでは、これからパネルディスカッションを進めていきたいと思います。この地球環境問題というのは一国が幾ら頑張ってもどうにもならない問題であります。そこで国外からもすばらしいパネリストの皆様においでいただきましたので、具体的な国際間の問題点、あるいは方向性についてもじっくりと進めていきたいと思います。COP3、地球温暖化防止京都会議はもう間近に迫りました。政府間会議は12月1日から10日まで、NGOの会議に至っては11月30日からスタートいたします。そのほかにも数多くのワークショップが京都を中心に開催される予定です。温暖化?寒いよりはいいじゃないの、というのんきな人々が、私も取材などをしておりますと、まだ多くお目にかかります。でも、これはとんでもない話でありまして、この地球の平均気温の変化を少し調べてみましたら、恐竜がいた時代は、現在と比べるとおよそ10℃高かったと言われております。そして、2万年ぐらい前には氷河期というのがありまして、4.5℃〜5℃今の地球の平均気温と比べて寒くなるのです。10℃とか5℃と言っても、こんなものは何でもないことのような気がいたしますが、これは数万年かけて地球が変わってきた温度でして、過去の1万年間の変化を見てみますと、これが1℃にも満たないと言われています。それがこの1990年から2100年という100年単位をとりますと、この間だけで平均気温が2度上がり、そして、CO2は2倍に増えるだろうというデータをIPCC- 気候変動に関する政府間パネルという機関-で出しております。また、暖かくなると氷が溶けて地球全体で2メートル前後も海面が上昇するというデータも出ております。これは大変な状況になってきたということであります。地球温暖化の問題は一国が鉢巻きを締めても地球全体の問題ですからどうにもなりません。そこで、どうやって統制をとっていくか、あるいは調和をしていくかというのが今度の京都会議で、大げさに言えば我々議長国である日本の英知、あるいは地球人としてのリーダーシップが問われているというようにいわれています。では早速、ジャック・ショートさんから、EUでの取り組みについて、運輸部門の状況、そして今、課題をどのようにとらえているか、そのお話を伺うことから始めたいと思います。ショートさん、どうぞお願いいたします。

 

ショート こんにちは。私の方からは、主要な課題に関して、ヨーロッパという観点から全体像についてお話ししてみたいと思います。

 

 

 

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