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第3章 まとめ

 

京都の気候変動枠組み条約第三回締約国会議(COP3)の後のアンケートというタイミングもあり、地球温暖化に対する人々の認識は高く、また温暖化の事実はすでに発生しており、今何とか食い止める手だてを世界の国が緊急に打たねばならぬとの認識が広く浸透しているようである。対策も日本一国にとどまらず、世界の各国が歩調を合わせ協力し合って初めて成功へ向かうと考えられている。

 

アンケート冒頭で自家用車の使用が運輸部門のCO2排出量において主要な割合を占めていることを強調したこともあり、身近な車の使用に関するCO2排出を抑制すべしというテーマは多くの人々の気持ちに触れるところが多かったと思われる。

 

今回のアンケートは、自動車グリーン税、炭素税とボランタリー基金をならべて順々に人々の意見を聞いていくものであった。グリーン税、炭素税とも、税金という名がついてはいるが、そのしくみは異なるため、人々の感じ方も異なっている。人々は現在以上の税金は勘弁してほしいと思っており、せめてトータルの中で"収支トントン"のような税であってほしいと感じている。

 

炭素税では、CO2排出量に応じた課税をするとしている。排出した側では何らかの利益を受けているはずだから、それに応じて税金を負担するという理屈である。しかし、税金、特にエネルギー関連の税金はすでに十分にあると感じている人もいる。今、CO2排出が問題になったからといって、さらに税金を負担するのには消極的になる。払うということになったとしても、この問題に対して税金が直接目にみえるような形で有効に使われるのかどうかという点は気がかりであろう。

 

またグリーン税については、アンケートにおいてなされた説明はCO2排出の大小により税金が増えたり減ったりするとしている。この限りではわかりやすいうえにCO2を排出する量の少ない方向を自らが選べば税金も安くなるという選択肢がはっきりしている。やすくなった分はCO2を多く排出する側が負担するとなっているとされている。これは人々の認識であるCO2排出抑制に合致するし、自分で選択肢から選ぶことにより、税を安くすることができる。自分への見返りがはっきりしている点で比較的受け入れられやすいようである。

 

一方ボランタリー基金については、税とは異なり、自主的な寄付によって成立するものであるから、税よりは反対は弱い。しかし、少数派の反対意見にあったように、資金が集まらなければ成立しないというリスクがある。グリーン税と比べて"大いにやるべきである"

 

 

 

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