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5.ボランタリー基金の創設について

 

質問に先立ち、運輸部門におけるCO2の排出は、その大部分が我々一人一人の日々のモビリティ(移動すること)、特に自動車の利用から生じていることを示した。そして、ボランタリー基金の構想を次のように説明した。すなわち、日常生活の中で、自動車中心の高いモビリティを享受している個人や企業のうち、地球温暖化問題の重要性とその難しさを認識し、新たな経済的施策の導入に賛意を示す人々から、自主的な寄付金を拠出してもらい、基金を設立して、環境に優しい交通体系の形成に資する諸施策を支援していくことである。

 

(1)ボランタリー基金の資金の使途

ボランタリー基金が創設された場合、集められた資金の使途としてどのような使い方が良いと思うかを全員に尋ねた。

公共交通機関へ乗り換える基金拠出者に対しエコ定期券などの助成を行うことが最も多く58.9%となった。拠出をするなら、そこからの見返りを受ける形がはっきり見えて、かつそのことがCO2抑制にも役立つようなものが好まれるようである。この点については男性女性とも似たような傾向が見られる。

また、基金拠出者が低公害車購入の際に従来車との差額の一部につき助成を受ける(47.3%)と低公害車普及等の支援をするNGOへの助成(44.4%)がそれに続いている。

低公害車購入の時の差額助成は2番目に賛成が多いが、具体的にその"差額"や"一定割合"を決めるのは容易でないことと、自動車の価格は常に市場原理により流動的であることが背景にあり、1.のエコ定期券ほどのインパクトはなかったものと見られる。

また、3.のNGO等への助成については、拠出者本人が拠出をしようとするインセンティブの観点から見ると、使途としては拠出者本人へ直接戻ってくるものではないことが背景にあると思われる。

さらに、4.の公共交通機関整備事業者、地方公共団体への助成は、拠出者から見ると、間接的すぎるのでさらにインパクトが弱いのではないかとみられる。

 

 

 

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