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2.4 駅用エレベーター開発の必要性

開発にあたり、従来型エレベーター、住宅のみで使用されるホームエレベーター、駅用としてJR東日本が開発した小型エレベーターの比較検討を行った。この3種類の使用条件、構造条件、構造などの比較を表2.2に示す。ホームエレベーターおよびJR東日本開発小型エレベーターは従来型エレベーターと異なり、構造も小型化、簡易化され、低コスト化が図られている。

駅ではスペース上の制約があるため、一般(乗用)エレベーターを駅に適用しようとすると駅設備全体を改築するなど膨大なコストがかかる等困難な場合が多い。このためあらたな駅用エレベーターを開発する必要がある。駅におけるエレベーター設置を容易にするためには、専有面積の縮小化、底部掘削の縮小化、頂部隙間の縮小化、配置の自由度の向上されたスペースの小さなエレベーターが必要である(図2.10)。これらの条件を満たしたエレベーターを採用することによりとくに駅設備の改良コストが低減できる。

ホームエレベータおよびJR東日本が開発した小型エレベーターを参考として移動制約者を配慮した駅用エレベーターを開発する必要がある。駅用エレベーターとして、JR東日本では貫通二方向出入口タイプが開発されている。従って本委員会では他のタイプの直角二方向出入口タイプを開発目標とした。

以下に駅用エレベーター開発の必要性の詳細を述べる。

 

(1)専有面積の縮小化

駅では跨線橋、地下道などでは通常幅員に十分な余裕がなく、また、プラットホームも旅客安全上十分なスペースがない。このため、エレベーターのシャフトサイズは旅客流動の安全上、できるだけコンパクトな形状寸法が求められることになる。

 

(2)底部掘削の縮小化

駅部自体は盛土や地上の下に構築されていることは少なく、線路面より下に掘削することが難しい構造となっている。線路面より下に掘削しないものが必要である。底部掘削を縮小化するためには底部ピットを縮小化する必要がある。

 

(3)頂部隙間の縮小化

プラットホームの上や跨線橋など天井の高さには制限があり、これにぶつかる可能性がある。頂部隙間を縮小したものが必要である。頂部隙間を縮小するためにはエレベーター保守運転時の安全性について配慮する必要がある。

 

(4)配置の自由度化

プラットホームおよび跨線橋などにエレベーターを設置するにあたっては、旅客流動および列車の到着を考慮すれば、出入口の取付の方向が自由にできるものが必要である。具体的にはプラットホームと跨線橋などの上下でエレベーターの出入口

 

 

 

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