年12年は使います。来年入れた車が廃車になる時期が2010年ということで、高齢化がかなり進んだ時期まで稼動し続けるわけです。
高齢者のためにシルバーパスが配られているところもございますが、ツーステップバスで高齢者が乗れないような車を走らせていると、シルバーパスの見直しという議論が起こってくる可能性もあります。むしろ、ノンステップバスをたくさん入れていますから、シルバーパスをどんどん出してくださいという形に持っていく議論が必要なのかと思います。
考えますと、交通だけではなくて福祉全般を各自治体がどういう形でやっていくのか、そのためのインフラをどうするか、そういうことを考えていくには、やはりグランドデザインが必要と思います。そういった大きなグランドデザインがあって、それに至るためのロードマップをきちんと考えていく時期に来ているのではないかと思います。そういうものがきちんとできれば、1年後にやるべきことはこれ、3年後はこれというふうにいろいろ出てくると思います。
しかしながらメーカーもバス事業者も営利企業でございますので、それぞれの論理があります。もうからないとなかなかやりづらいというのはあるかと思います。自治体さんにこうしたいからこういうふうにするんだというグランドデザインを声を大にして言っていただけると、そういう方向に進んでいくのかなと思います。
次にバス利用者へのアカウンタビリティということですが、メーカーの論理、バス事業者の論理、自治体の論理ということでいろいろ議論をしていても、その中で不在になっているのはエンドユーザーである利用者の意見です。いいものがあるのにお金がないから入れないというのは、利用者不在の議論です。その辺も広い意味でのアカウンタビリティという中で考えていただければと思います。
5. 具体的アプローチ
そういうことで、これからはコミュニティバスのような公的補助を前提としたシステムもどんどん出てくるのではないかと思います。
そして、バス事業者さんが生き残りへの戦略として考える。旭川電気軌道さんなどは非常に明確なコンセプトで頑張っておられるようですので、あとの話が楽しみです。
車としてはさらなるコストダウンを図っていかなければいけないということで、標準化の話がなかなか進まないと聞いておりますが、抜本的なところからの標準化を推し進める必要があるかと思います。
6. そのための得ておくべき情報
最後に、そういった議論をするための情報としては車をよく見るということです。今日、メーカーの方に4台車をお持ちいただいております。アクセシブルだとどういう点でいいのかを見ていっていただければと思います。
ただ、もっと必要なのは実際に使われている環境を見ることです。人が乗り降りしている様子や、乗った人がどんな感じでいるのかをごらんになったほうがよろしいかと思います。東急バスさんは今月中に21台になるということです。これだけのまとまった数を2つの路線に入れております。山手線の目黒駅に行きますと、次から次にノンステップバスが来て、お客を乗せてスッと発車する状況を見ることができます。帰り道に寄られるとよろしいかと思います。
ということで、ノンステップバスをどう普及させるのかというのが本日のセミナーのテーマでございますが、バスは採算が悪いとか赤字だとかネガティブな方向に考えているだけでは何も新しい解答が出てこないと思います。先ほどお話しした福祉の話とくっつけるというのは、ある意味では極論というか、難しいところもあるかもしれませんが、それぐらいの感覚を持って、一般国民というか広い意味での利用者への便益を考えると、いろいろな策が出てくるのではないかと思います。
長くなりましたが、以上で私のコメントは終わります。