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それ以上に世界的に非常に重要な問題であるという背景があって、出されてきているものだと思っております。

それからもう1つ、私たちは運輸部門について絞っていくわけですが、運輸部門に関連した環境問題というのは非常にたくさんあります。例えばタンカーの事故とか、まだ皆さんも記憶に生々しいと思いますが、油の流出事故から始まって、酸性雨の問題とか、あるいは以前、随分問題になりました光化学スモッグですね。窒素酸化物等々の排出による大気汚染の問題というようなものも関連する問題としてあるわけです。

地球的規模の問題として、特に地球温暖化問題がクローズアップされているわけですが、これは決して21世紀の問題ではありません。資料の5ページから見ていただきたいのですが、IPCCという政府間パネルで、それぞれの政府が地球温暖化問題に詳しい研究者を出しまして、そして7ページにありますようにワーキンググループというのをつくりまして、そこで3つの作業部会に分けて議論をしてきたわけです。

地球温暖化問題は、もう既に始まっているわけですね。19世紀末以降、全地球の平均気温は0.3〜0.6℃上昇しているとか、平均の海面水位が過去100年間に10〜25cmくらい上昇しているとか。

あるいは年輪から見て、今世紀は1400年以降の過去数世紀のいずれよりも暖かいというようなことがデータとして出てきているわけです。我々の身の回りを考えましても、例えば、私もスイスで見ましたが、氷河がどんどん溶けていって、氷河の面積が後退しているとか、最近、これは地球環境白書なども指摘していますが、色々な所で洪水とか異常渇水があると思うと、異常な集中豪雨が降るとか、あるいは台風等の暴風雨が起こるというような気象条件の急激な変化というものが、色々な形でもう進行しているということについて、我々は見ておく必要があると思います。

本日は、特に地球温暖化問題にかかわっている自動車に照準を当てまして、いったい今後の地球環境にやさしい交通と運輸のあり方というものをどう考えていけばよいか、問題点、課題を整理して、将来の方向を探りたいと思います。

それではまず最初に、明石パネラーから、地球温暖化問題の現状はどうなっているのかというお話をしていただきまして、続きまして川西パネラーから、これまでの報告を踏まえて、運輸部門でのCO2削減というのは、どういう方向、どういう対策があるのかということについてお話いただきたいと思います。

 

明石 地球温暖化の現状といいましても、香川県の高松で仕事をしている私にとって、非常に捉えにくい問題で、おそらく会場にお越しになっている皆さんにとってもそうなんだろうと思います。

1972年のストックホルムで国連人間環境会議というのが開かれて、それからあと、様々な国際会議の中で、地球は1つでそれに対して各国はみんな責任を持たなければならないということが何度も何度も叫ばれました。今から5年前に地球サミットというのがブラジ

 

 

 

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