基調講演1
地球環境問題と交通
森津秀夫氏
神戸大学工学部助教授
神戸大学大学院工学研究科土木工学専攻修了。1976年、神戸大学工学部助手となる。同大学講師を経て、1987年より、同大学助教授。
主著:『高速道路とクルマ社会』(共訳)『社会計画のための戦略的選択アプローチ』(共訳)
最初に交通に関わる二酸化炭素削減について、二番目に二酸化炭素の排出量を削減するうえで有効な公共交通の利用・促進ための方策、最後に交通を専門としております立場からみた「地球環境」時代の観光交通についてお話しいたしたいと思います。
交通に関わるCO2の削減について、運輸部門が占めるCO2の現状と、それぞれの輸送機関別の状況、次に、CO2の削減方策という順序でお話しいたします。
部門別の、CO2の排出量のグラフです。いちばん多いのは産業部門で、4割を占めます。運輸部門は、その半分の20%というのが現況です。きょう運輸局長さんのごあいさつにもありましたように、この運輸部門の割合がじりじり増えつつある状態です。
運輸部門のなかでの内訳でもっとも割合が高いのは自家用乗用車で、54%。過半数が自家用乗用車によるものです。自家用乗用車といいましても、マイカーもあれば業務用に使っているものもあります。
自動車全体でみますと、貨物車があり、バス、タクシーなどもありますから、これを加えると80%を超えることになります。ですから、運輸部門全体でのCO2排出量のほとんどが車によるものだといってさしつかえない状態です。
この運輸部門におけるCO2の排出量を減らすには、自動車からの排出量を削減することがどうしても必要であることがおわかりいただけるかと思います。