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特別講演

 

環境にやさしい車の

開発・普及の現状と将来展望

 

玉野昭夫氏

日本自動車工業会安全環境技術委員会

排出ガス部会代替燃料分科会会長

 

宇部工業高等専門学校機械工学科卒業。1970年、トヨタ自動車工業株式会社(現ト∃タ自動車株式会社)入社。現在、同社第4開発センター第1エンジン技術部エンジン認証室長。日本自動車工業会排出ガス部会代替燃料分科会会長、自動車燃料用メタノール調査委員会委員、天然ガス自動車実用化調査委員会委員。

 

私ども自動車業界は、環境問題の解決なくして21世紀の自動車産業はありえないという認識のもとに、環境にやさしい車、低公害車の開発に鋭意努力を重ねております。本日は、地球温暖化と都市環境の問題についての私どもの取り組みの一端をご紹介させていただき、私どもの活動にご理解をいただければ幸いに存じます。

 

「地球規模の環境破壊」と「地域的大気汚染」に取り組む

 

自動車の環境問題には、大きく分けて二つの課題がございます。一つは、先ほどご紹介のありました地球規模の問題。これはオゾン層破壊、地球温暖化の問題に代表されます。もう一つは、窒素酸化物を初めとする都市の大気汚染という地域的な問題であります。なにが問題になっているのかは、国によって多少状況が異なります。カリフォルニアでは、オゾンが大きな問題になっており、日本では窒素酸化物と浮遊粒子状物質の二つが大きな問題とされております。

自動車単体からの環境負荷物質の低減を図る対策としては、まず従来燃料車――ガソリン車やディーゼル車のさらなる排出ガスの低減、燃費の向上による効果が大きいことは言うまでもございません。規制のなかった時代にくらべまして、すでに大幅に低減されておりますが、ガソリン車については昨年、中央環境審議会からさらなる厳しい規制が答申されております。ディーゼル車の強化につきましても、同じく中央環境審議会で今年から審議される予定になっております。自動車業界としては、これらの対策について鋭意努力を進めております。

 

 

 

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