まえがき
近年における船員災害の発生状況は陸上産業に比較して依然として高いことに加え、その発生率の減少傾向も横這い状態となっている。
なかでも、船員の高齢化が進展しており、高年齢船員の被災する割合も年々増加する傾向にあって、平成8年度には死傷災害の約43%を占めるに至っている。また、近年における船員災害は、特に「転倒」「はさまれ」災害がその発生率で横這い状態で発生している。この原因としては、船員の高齢化により、熟練者が増加していること、あるいは、船内機器が近代化され機器類の取り扱いが単純になっていること、さらには、1隻あたりの乗組員数が減少している等に因り、より効率的な作業が要求されるようになってきていること等が考えられる。
このような状況に対処するため、個々の船員に、単純な作業や慣れた作業を行う上での作業の安全確保を再認識してもらい、油断や過信からくる災害を防止するため、作業毎に最も安全で効率的な作業動作の方法と手順を分析し、これを基に船員が作業を行うという「作業の標準化」を確立する必要がある。
本年度はその初年度にあたり、まずは漁業のなかでも全国的に行われ、かつ労働災害の発生率の比較的高い業種である「まき網漁業」を対象に選んだ。
調査検討にあたっては、調査員を現場に派遣し、当該漁船における各作業毎の人員配置状況及び作業方法並びに作業環境等について実態調査を行い、この調査資料を基に、委員会が検討し作成したものが本報告書である。
この調査にあたり、こころよく調査員に乗船の機会を与えていただいた、石田丸漁業有限会社、共和水産株式会社、波崎漁民組合、さらには調査研究にご協力いただいた千葉工業大学学生諸氏、ご後援いただいた運輸省、水産庁及び社会保険庁の関係者に対し衷心より感謝の意を表する次第である。