第5章 まとめ
5.1 研究成果
本事業では平成7、8年度事業に引き続いて、神戸海洋気象台が蓄積してきた貴重な船舶海上気象観測データ「神戸コレクション」を約30万通デジタル化した。これらの一方、平成7、8年度事業においてデジタル化したデータの品質管理(QC)を行い、気象庁が独自にデジタル化した56,550通のデータと併せて1,045,682通のデータを整備した。
品質管理後のデータを用いた統計解析によると、データ数の多い海域ではKoMMeDS-NFはCOADSの統計解析結果と同様の結果を示し、COADSのデータが少なくKoMMeDS-NFのデータが多い海域ではCOADSの統計解析結果を合理的に修正するような結果が得られ、KoMMeDS-NFの妥当性及び有効性が確認された。
KoMMeDS-NFとCOADSを併せた新しい海洋気候データセットを用いた海洋気候の長期変動解析を行った結果、過去におけるエルニーニョ発生期間が明らかに示された。また、北太平洋において1940年〜1945年頃に、海面水温、海上気温等の気候値がその前後において大きく異なっていることが解析され、山元らの提唱する「気候ジャンプ」が起きている可能性が示された。
5.2 今後の課題
過去3年間の事業で約130万通のデータを電子化したが、残り約200万通あまりがまだデジタル化されないままである。マイクロフィルムは時間と共に劣化するので、これらのデータの電子化を緊急にする必要がある。今後の課題は、さらに「神戸コレクション」のデジタル化を推し進め、歴史的データの電子化を完成させることである。
デジタル化されたデータは、一般の調査研究に利用されて初めて価値を生む。今後は、世界気象機関の品質管理基準に基づき、十分なデータの品質管理の後にCD-ROM等に入れて、利用者が簡単に入手することができるように準備する必要がある。
本研究では予備的な解析を行ったが、今後は不規則誤差や系統的誤差の把握、EOF解析等を用いたより高度な長期変動解析が必要である。