3.4 新たな海洋気候データセットの統計解析
ここでは、COADS.MSTGにKoMMeDS-NFを加えた場合と加えない場合について統計解析結果の比較を行う。
図3.20〜23はCOADS.MSTGとKoMMeDS-NFの要素毎年代別データ数である。COADSデータの少ない期間をKoMMeDS-NFが補充しており、特に、海面気圧に関してKoMMeDS-NFの果たす役割は目を見張るものがある。
前節と同様、図3.10に示す特定海域について、オリジナルなCOADS.MSTGとCOADS.MSTGにKoMMeDS-NFを加えたものとの時系列を比較した(図3.24〜26)。なお、日本付近以外の海域については巻末資料に掲載した。
日本付近を例に取ると、合成データは1905年以降各月に100個以上データが存在し、データの充実を図れたことが分かる。特に第一次世界大戦前後のCOADS.MSTGデータの穴(データ数が少なく、観測値に信頼性が乏しい部分)をKoMMeDS-NFが補っていることが分かる。また、絶対値比較においてはほぼ似たような変化傾向を示しているが、日本付近の1930〜1931年の気圧データや1921年〜1922年の風データ等、変化傾向の異なる箇所も見られる。
今後さらにKoMMeDS-NFをデジタル化しデータを増やすことによって、さらにCOADS.MSTGの時系列データを補うことが期待できる。
次に、前節と同様に、北太平洋の各要素の平面分布を示す(図3.27〜32)。図3.27と図3.28によると、海面水温及び気温の分布はよく似ているが、北海道東方や日本海中部の気温分布がやや異なっている。風については大まかな分布はよく似ているが、北太平洋北部の強風域の等値線図の形状がやや異なっている(図3.29)。気圧については合成図がKoMMeDS-NFの分布図によく似ていることから、KoMMeDS-NFを加えることにより、気圧データの少なかったCOADS.MSTGがより充実したものになると考えられる(図3.32)。
なお、巻末資料に季節別の分布図を示す。
以上のことから、KoMMeDS-NFをCOADSに加えることにより、今までCOADSのデータが少なかった時代及び海域の海洋気候データセットがより充実したものになり、KoMMeDS-NFの有用性が確認された。