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現在、新疆ウイグル地区を訪れる日本人旅行者の大半が空路を利用されていますが、ここをモデルにして、私ども日本の航空会社がどのように考えているかということをプレゼンテーションさせていただきます。

航空会社は、まずディスティネーション(目的地)の成熟度により生産量、供給量を判断していきます。

ご存じのとおり、日本人に人気の高いハワイや香港の場合、私ども日本航空だけで1日定期便10便程度、ピーク時には臨時便も含めて15便以上もの便が日本のいろいろな空港からハワイや香港に飛んでおります。

今日お集まりの13カ国の外国代表の皆様方の半数はそれぞれの国から直行便でお見えになったと思いますが、残りの方、例えばカザフスタンとかウズベキスタン、グルジアの方は恐らくどちらかで乗り換えておいでになったと思います。

中国についても、北京、上海等はともかく、新疆ウイグル地区に関してはどうしても乗り換えしなければなりません。また、例えば日本からウルウチに行く場合、乗り換え地点の北京、上海に行く国際線飛行時間よりも国内線の時間の方が長いというのが現状です。

そこで私は日本発の旅行需要喚起の観点から、日本と新疆ウイグル地区の直行便運航の可能性について、述べてみます。

私ども日本航空を含め航空会社が運航の是非を決定する最初の要素は経済合理性です。日本発着の需要の喚起とディステイネーション、新疆ウイグル地区側の受け入れ能力の向上が1つのポイントになるかと思います。先ほど来のプレゼンテーションにございましたように、このマーケットは現在のところ中高年齢層の人に需要が偏っております。日本マーケットの最大グループである若年層、特に若い女性にどのようにアピールしていくかが、今後の課題と考えております。

ポイントの第一はツアー期間の問題です。中高年齢層にはリタイアした人もいらっしゃいますので比較的自由に時間が取れますが、その他の方々は長い休暇を取りにくいというのが日本の実状です。そこで、例えば日本と新疆地区間を低コスト、かつ効率のよい移動手段、例えば、途中で1泊しないでそのままウルムチまで行けるということが、需要喚起に重要なファクターになるのかなと思います。

2点目も当たり前のことですが、魅力的なツアープライスづくりです。需要の季節変動が大きい地域では、どうしてもピーク時のツアーコストが高くなります。新井さんのお話にありましたように、旅行対象期間を延伸して、1旅行者当たりの単位コストを下げていくということは、需要喚起に大変有効な手段です。

3点目もすでに触れられておりますが、ホテルとか地上輸送の受け入れ能力。それからトイレ、バス等の衛生面、利便性、快適性の向上が大変重要だと思います。これは私の前に話された石川さんが日本人は非常に清潔好きだということで触れられております。私は4年前までフィリピンのマニラに駐在し、当時は電力事情が悪くてよく停電を経験しました。停電になりますと電気が使えなくなりますので、水洗のトイレが使えなくなります。これは日本でも阪神大震災の折に家屋が損壊した方が非常に苦労された点

 

 

 

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