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ビナート、石炭採掘、紡績業など)として大発展をし拡大している。

1) 新疆ウイグル自治区博物館

自治区最大の博物館。1953年に設立準備が始まり、1963年に正式に開館した。収蔵品は5万点以上、展覧面積は延べ7,800m2。1階左側の「民族民俗展覧」と「歴史文物陳列」を二つの軸としている。「民族民俗展覧」は新疆の12の少数民族の衣食住に関する物が主で、「歴史文物陳列」は石器時代、墳墓、石窟からの発掘、発見品や民族言語の文字資料など。

歴史文物陳列の中で特筆すべきものに、下記のものがあげられる。

a) 保存状態の良い3000年前頃から唐代のミイラ《「楼蘭の美女」(3000年前頃)

1980年に出土、「男性のミイラ」(3000年前)頭髪、口髭が残る。いずれも手足が長く、鼻が高いなど現在の新疆の住人と異なるアーリア人の特徴を示している》

b) 唐代の加彩塑像(唐、7〜10世紀)《トルファンのアスターナやカラホージャ(哈拉和卓)の唐代の墓から出土した木や粘土で作られた俑(よう)類。男女俑、武士俑、騎馬俑、各種の禽獣、鎮墓獣など。「可彩・打球をする騎馬泥俑(でいよう)」(衣服などは西域風)など》

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d) 文献類(唐、7〜10世紀)

トルファンのアスターナやカラホージャの墓から出土した唐代の各種文書資料類。契約書(小作、売買、雇用、賃貸など)、戸籍と計帳、官府の文書、個人の手紙、副葬衣物目録など。絹取引上の訴訟事件の文書から、中国からシルクロードを経て西へ運ばれる絹の量がかなりのものであることが判明した》

 

? 吐魯番(トルファン)

トルファンは、ウイグル語で「窪地」の意味。天山山脈の南麓に位置し、トルファン盆地の中心都市。その名のとおり標高24m、艾丁湖(アイデイン)湖は海抜マイナス154m、死海についで世界で2番目に低い標高である。盆地は東西240?、南北75?、周囲を山に囲まれ、オアシス面積はその9%であり、残りは岩石か砂である。

この地勢に影響されて、典型的な内陸性気候を生み出しており、空気は乾燥しており、夏季には49.6℃を記録したことがある。故に火州と呼ばれる。冬は、零下10℃近くまで下がる。春から夏にかけて大風が吹く。

トルファン県の全体人口は、54万人、市は10万人。生活と農耕の水は、カレーズと称される地下水道による。(参照:第2章P.10)名産品として、葡萄、ハミ瓜、綿花がある。1990年以来、毎年葡萄節(8月25日〜30日)が開催されている。近年ではトルファン油田と天然ガス井の開発が行われている。石油精製コンビナートは無い。

古くは姑師と呼ばれ、漢代には交河故城を王城とした車師前国があり、その東に漢の植民の基地である高昌壁が設けられた。五胡十六国時代は、高昌郡となり、5世紀半ばに高昌国が成立した。唐は高昌国を滅ぼし、ここに安西都護府を設置した。8世紀、強勢となった吐蕃(チベット)の支配下に入った。その後、西ウイグル国、チンギス・ハーン、東チャガイタイ・ハン国、ジュンガル部の支配を受けた。

 

 

 

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