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第1章 シルクロードの観光開発・観光振興をめぐる動き

 

1. これまでの経緯

 

1994年10月にWTO及びUNESCOの共催で「シルクロード・プロジェクト」の最初の国際会議がウズベキスタン共和国のサマルカンドにおいて開催され、日本を含む関係の19ヵ 国が参加し、今後関係者が官民協力してシルクロード旅行を推進してくことを盛り込んだ「サマルカンド宣言」が採択された。

翌1996年6月には中国西安において「WTOシルクロードフォーラム西安」が開催され関係国政府関係者、考古学者、米日欧のツアーオペレーターが結集し、プロジェクトは動き出した。さらに1997年2月には我が国の奈良で「WTO/UNESCO/APTECシルクロード・トラベルフォーラム」が開催された。この一年の主な動きは、以下のとおりである。

(注)APTECは(財)アジア太平洋観光交流センター。

 

2. シルクロード国際会議(於:テヘラン、イランイスラム共和国)

 

サマルカンド会議を受けて、1997年4月22日から24日まで27ヵ国から観光当局、国際機関並びに民間企業の代表が、イラン・イスラム共和国の首都テヘランに会合し、遺跡、遺物や伝説に富んだシルクロードを観光で甦らせる目的で討議を行った。

この会議の主眼は、シルクロード地域、シルクロード関係国及びその他の世界各国が均衡のとれた観光の発展をはかりながら、同時にシルクロード地域の経済的、社会的繁栄に寄与するために、国際間の理解を深め、文化交流を広めることにある。

本会議のまとめと勧告は次の4つの大きなテーマとなっている。

文化交流の拡大

? シルクロード関係国間の文化的繋がりと、維持強化することの重要性に鑑み、各国政府及び旅行業者に対して、シルクロード観光の文化的要素に重点をおき、旅行者と観光地地域住民との間の文化的交歓を広めるよう要望する。

? サマルカンド宣言(1994年)の精神に則り、旅行者はシルクロード地域住民の風俗習慣を尊重するよう要望する。

共同市場開発計画

? シルクロード・プロジェクトのための共同の開発委員会を設け、市場動向の分析をして最も可能性の高い市場を特定するものとする。

? 包括的なインターネット情報綱によって、シルクロード観光地及びその施設などについて旅行者に情報を提供し、同時に旅行業者に対しては査証(ビザ)取得に必要な情報や、越境に必要な情報を提供することで情報活動の改善をはかる。

? より多くのジャーナリスト及び旅行業者の視察・慣熟旅行(ファムトリップ)を実施することで情報伝達の広がりをはかる。

? 年一回の「シルクロード観光デー」を設ける。

 

 

 

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