運輸省 近畿運輸局
企画部長 西川 健
ただ今、ご紹介にあずかりました、近畿運輸局企画部長の西川でございます。
シンポジウムの開催にあたり、一言ご挨拶申し上げます。
既にご案内のとおり、21世紀を間近に迎え、観光は国民生活に不可欠なものとなり、雇用創出、地域振興、さらには国際相互理解を増進する原動力として、大きな期待が寄せられているところであります。
世界観光機関(WTO)の統計によりますと、国境を越えて旅行する観光客数はすでに5億6千万人に達し、その消費額は3800億ドルになるなど急速な成長を見せており、21世紀初頭には、国際観光客数は10億人に拡大するものと見込まれております。
一方、我が国における観光の現状を見ますと、1970年までは訪日外国人が日本人海外旅行者数を上回っておりましたが、現在では年間1700万人もの日本人海外旅行者を数える一方で、訪日外国人は380万人と5分の1程度で大きなアンバランスが生じており、国際観光交流という観点からも非常に問題があるのではないかと考えております。
ある政府機関が外国人の日本に対するイメージを調査した結果によりますと、訪日前は「近代的で工業が進んだ国」が第1位で、訪日後は「人々が親切で好感の持てる国」が第1位になっており、実際に日本に来ていただき、素顔の日本と日本人に接していただくということが、非常に重要ではないかという思いを深めている次第であります。
そのような観点から、運輸省におきましては、2005年までに訪日外国人旅行者の倍増を目指す「ウェルカムプラン21」を推進するため、国内旅行費用の低廉化、外客接遇の向上、国際観光テーマ地区の形成など総合施策を実施することとし、本年3月に「外国人観光旅客の来訪地域の多様化の促進による国際観光の振興に関する法律」案を国会に上程し、予算・税制改正等に所要の措置を講ずることにより、国際観光の振興を図ることとしております。
国際観光の振興を図るためには、このような仕組みを活用しつつ、行政と民間・地域社会が一体となって、地域の特色ある観光素材を活かした観光魅力の増進に取り組む必要があると考えております。
本日のシンポジウムは、アジア太平洋諸国で大きな成果をおさめている実例を通して国際観光交流を考えていくということで、非常に期待しているところでございます。このシンポジウムが新たな国際観光の今後の振興のために、大いに意義のあるシンポジウムになることを祈念いたしまして、私の挨拶とさせていただきます。