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消防最前線

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火 災

カラスの放火

鳥取県東部広域行政管理組合消防局(鳥取)

 

はじめに

当消防局は、鳥取県の東部に位置し県庁所在地である鳥取市を中心として、1市14町村で構成されている。

管内は旧藩主池田32万石の因幡の国として栄え、北は日本海に面し、南は中国山地に囲まれていて、鳥取大砂丘、白兎海岸をはじめ、池では日本一の広さを誇る湖山池など、山紫水明、神話と歴史豊かな環境の地にある。

しかしながら、鳥取市においては昭和18年に震度6で死者1,210人が生じた鳥取大震災、昭和27年には焼失建物7千余棟と市内の大半が廃墟となった鳥取大火を相次いで経験し、これらの災害から復興する中で、住民の間には自主防災の意識が高い。

消防体制は、1本部・5署・6出張所・1分遺所、職員276人(平成9年4月1日)で、管内面積1,518k?u、人口25万人の消防防災の任務にあたっている。

ここに紹介する火災事例は、のどかな田園地帯で発生したカラスの仕業と推定される火炎である。

 

1 火災の概要

(1) 出火日時 平成9年4月14日 10時25分頃

(2) 出火場所 鳥取市大畑地内 山林

(3) 覚 知 4月14日 10時27分

(4) 鎮 火 11時08分働

(5) 気 象  天候晴 風向北北西 風速6m/s 気温20℃ 湿度42%

(6) 焼損状況 枯松1本

(7) 出火原因 カラスが火種の残ったゴミを枯松の上に運び出火

(8) 出動状況 消防署 5台 16人

消防団 1台 6人

2 付近の状況

火災の現場は、湖山消防署の南西約6.4kmの地点で、周囲が田んぼでかこまれた小高い山の中腹である。

付近は鳥取市の郊外で、山の周囲は数kmにわたって田畑が広がり、近くに集落が点在する典型的な田園地帯である。

水利状況は、西側約100mの集落内に防火水槽一基と農業用水路が流れている。

 

3 活動状況

(1) 先着した湖山署タンク車隊は、防火水槽に部署するとともに、小高い山の中腹に高さ約10mの枯松が立っていて、この先端の枝分かれした部分から白煙の上昇と炎を確認した。

(2) 直ちに消火活動に入ったが、枯松で中が空洞になっている可能性もあり、居合わせた山林所有者の承諾を得てチェーンソーによる倒木と放水消火を実施した。

この結果、25分後の11時08分に鎮火した。

 

4 出火原因

現着時から我々調査員を悩ませたのは出火原因であった。

山野中腹に一本だけ立枯れている松の先端部分からの出火である。消防隊も見守る住民も、皆一様に首をかしげている。

たばこ、放火、火遊び、落雷、摩擦、飛び

 

 

 

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