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消防最前線

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火 災

就寝前の火災で三人が焼死

大和郡山市消防本部(奈良)

 

はじめに

当消防本部は、奈良盆地の北部に位置し東に奈良東山連峰、西に矢田丘陵(県立矢田自然公園)、生駒山脈を望み、北に薬師寺、南西に法隆寺の五重の塔をあおぐ環境の地にある。

市街地は豊臣秀長が秀吉より100万石を拝領し、箱本制度として日本で初めて町民による地方自治が取り入れられた城下町である。

したがって、市街地の町並みは狭隘道路で碁盤の目のように区切られ、民家は、大半が木造で隣接する建物は相互に壁が密接しており、火災発生時背面への消火活動が困難な場所が多い。

市の特産としては、江戸時代の武士が内職として金魚を飼育したのを受け継ぎ、郊外の農家では金魚の養殖が盛んに行われており「金魚の町」として知られている。

また、市の南部は内陸産業の拠点となる工業団地があり、有名中堅企業が進出している。

平成8年12月31日現在の人口は96,322人、面積は42,47k?uあり市街地の周辺は田園地帯で大阪のベッドタウンとして住宅が開発されている。

消防体制は1本部・1署・2出張所、消防職員90人で市の消防防災の任務にあたっている。

ここに紹介する火災事例は、城下町の密集した市街地において平成8年1月10日に発生した2階部分を焼損した住宅火災で、就寝前にもかかわらず3人もの焼死者が発生した火災である。

 

1 火災の概要

(1) 出火日時

平成8年1月10日  23時55分頃

(2) 出火場所

大和郡山市堺町21番地

(3) 覚   知  1月11日 0時09分

(4) 鎮  圧 1時30分

(5) 鎮  火 2時05分

(6) 被害状況

死者  3人

半焼  1棟

木造2階建延べ面積185?uのうち2階部分75?u焼損

部分焼 1棟

木造2階建ひさし部分焼損

損害額 15,455,500円

(7) 出火原因

電気カーペットの半断線による発熱

(8) 出動状況

消防本部・署 8台 39人

消防団   4台 55人

 

2 火災の概況

この火災の家族は主人を中心に母親、妻、長男(高校生)、長女(中学生)の5人家族で、出火時の家族の居場所は、母親は1階で就寝しており、火災のあった2階の間取りは田の字型の四間取りの和室で主人は2階の階段を上がった次の部屋でテレビを見ていた。妻と2人の子供は主人の東側の部屋(階段とは対角になる部屋)で団らんしていた。23時55分頃、主人は妻の「変な匂いがする」との声が聞こえたので一階へ様子を見に行こうと階段へ向かったところ、階段を上がったすぐ

 

 

 

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