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世田谷ですが、モデルとした地区の現状はどんなふうに思われましたか? 人口、密度、資源状況など地域ごとに本当に差がありますが。

稲川 世田谷の場合、特養は別として、需要に見合った施設を次々に計画し、まめに広報を出したり、と行政の方の一生懸命さから福祉のすすんだ地区と思い込んでいました。でもどっこい、区民の多くは受け身なんです。一方、町田市は自分たちで何とかしなければ、との気概を感じました。

奈良 恐らく全国的にいっても地域によって事情が違うんですネ。町田は"まちづくり条例"をはじめ、行政もどんどん出前して在宅介護支援センターなどを知らしめる努力をしていますよね。一方の世田谷にはボランティア団体は多いんですよ。移送サービスが七つ、配食・会食で四〇ぐらい。でもその連携が取れない。どこも同様の問題ですけど。

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新名 世田谷の事情を調査員は"山の手の憂鬱"といっていましたが、社会的な接触を持とうとしない、気むずかしい方も多い。なかなか外に"扉"を開いてくれないというのはあるようですね。

妻川 私も地元で助け合いの活動をしてますが、その知り合いが、ある高級住宅地に住む方たちを、「扱いづらい」と評してました。この人はいろいろなことをアドバイスしてくれる視野の広い人ですけど、まさにこのひと言が象徴しているんでしょうかね。

新名 年を重ねていくことは、ぼくら若い世代では想像できない複雑な心理状況もあると思うんです。そうした方々の気持ちを汲み取って、相応な手助けができるのは市民の立場だからこそと思うんですよ。そのためにも何らかの仕組みが必要だなあ

 

 

 

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