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表紙絵から

 

池田げんえい/1946年神奈川県生まれ。日本児童出版家連盟、現代児童会会員。創作『鬼の会』同人。日本デザイナー学院講師。はり絵作家。

 

● 平成・東海道五拾三次

その33 「白須賀」

 

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坂を下った先に、一面の海が広がる。

 

―汐見坂界隈―

運行表でみると「汐見坂」バス停は3つめ。これは楽勝とロクに地図も見ずに歩きはじめたが、歩けど、歩けど、その名前がない。どうやら主要停留所だけを見ていたらしい…。意を決してガムシャラに歩く。と、何やら先方がキラキラ光っている。"海に出ればこっちのものサ"。思わず駆け出したが、近づけばそれは夕日に燦然と輝くビニールハウス群…。ヘナヘナとくずれ落ちそうな体のまま旧街道に入り、地元の人にめざす場所を尋ねると、何ともアッサリと「ソコの脇道を登ったところ」という。再度、ヘナヘナ。

これだけ歩いたんだからもういいサと、豊橋行きのバスに乗って次の「二川」へ。コレは最高!エッ?ハッと気がつけば、「二川」はとっくに通り過ぎてそこは「豊橋」!シマッタとボリボリかいた頭は、砂でジャリジャリだった。

 

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汐見坂図と同じ場所

 

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安藤広重絵「白須賀」

汐見坂は、京から江戸に下る道すじで初めて富士山の見える所。「富士見が松」と総称される松並木の間からのぞく旅姿は、参勤交代途中の大名行列。海上の黒影は漁船の数々。沖には帆船の白帆か往き交うのどかな風景だ。

 

 

 

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