直立位、背・腰部での型の変化は今回はあらわれなかったが、長座位、背・腰部の変化については、表1より、「リラックス姿勢」に体操前後での「よくない」ほうへの変化が若干名にみられた。直立位や長座位の胸・腹部と同様に、長座位の背・腰部においても「リラックス姿勢」に「よくない」変化があるのは、直立位、長座位ともに体操前のほうが体操後よりもリラックスできていないことがその理由として考えられる。カが抜けていて背中が丸い状態よりも力が抜けていても抜けていなくても背すじが伸びている状態のほうが腰椎のためには望ましいと思われる。しかし、トレーニングしなければ、長座位でリラックスしたまま背すじを伸ばすことは難しいだろう。同じ脊柱形状で座り続けることは椎間板に負担がかかるので、リラックス時には背中が丸まっていても、意識的に調整した際には伸びる、といった可変性があることが最低限必要であろう。「意識姿勢」での体操前後の変化はすべて「よい」ほうへの変化であった。表2より、「リラックス姿勢」と「意識姿勢」の型に違いがある例は体操前よりも体操後で多く、どの年代もほぼ全員に変化があった。つまり体操後は姿勢の可変性が増した。「リラックス姿勢」と「意識姿勢」に違いがあるのは当然であると予測できるが、実際にはその型に変化のない例も特に体操前でみられた。それは意識的に姿勢を調整しようとしてもできない場合もあるということであり、そして体操後にはそれができるようになるのであるから、姿勢の意識的調整にこの軽体操は影響を及ぼしているといえるだろう。長座位でより「よい」姿勢ができるようになったことは、体操によってハムストリングの柔軟性が増したことと、骨盤を起立させるための筋の使い方が分かったことによる効果ではないかと考えられる。
3. 前屈姿勢、後屈姿勢の個人内での変化について