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除去できない場合もあります。そして,多くの症状がいつまでも長くつづくことが多いのです。症状をコントロールする主な方法は薬です。一回の薬できれいに症状が除去できても,薬の効果がなくなれば症状は再発してくるわけですから,再び症状が現れてから次の対応をするのではなく,症状が再び現れる前に次回分の薬を投与して,いつも症状がないようにする方針をとります。

いくつもの症状がある場合には,患者さんがいちばん困っている症状への対応を優先して行います。看護婦や医師の考えだけで決めるのではなく,患者さんがどの症状にいちばん困っているかをよく聞いた上で,医学的な判断,看護上の判断を加えて,優先順位を決めていくべきです。一つひとつ症状に順次対応していきますと,いつのまにか大きな成果が得られるようになります。いっきょに最大効果をあげようとする必要はありません。

どの症状に対しても早期対応が重要です。ときには問いかけて訴えを促したり,早く気づいてあげることが大切です。

こういうことを実現していくための薬理学の理論,臨床医学の理論,看護学の理論が必要です。理論に沿って私たちは仕事をしていくわけですが,理論にこだわりすぎて患者さんに不便をかけてもいけません。患者さんの便宜と理論との間に折り合いをみつけて,ときには理論の一部を患者さんの便宜のために補正して使うことがあってもよいのです。

 

痛みへの対応から始める

 

いろいろな症状のコントロールのすべてをお話しする時間がありませんから,痛みを主体に話しますが,吐き気など他の症状の対応法の基本

 

 

 

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