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東京交響楽団

1946年に東宝交響楽団の名で創立。1951年東京交響楽団と改称して今日1こ至る。1964年以来秋山和慶が音楽監督常任指揮者をつとめる。1991年大友直人が正指揮者に、1994年から飯森範親が指揮者に就任。また客演指揮者に小林研一郎を擁する。1976年アメリカ、カナダ、メキシコ、1982年韓国、1986年中国にて公演を行う。1991年ヨーロッパとアメリカにおいて、“英国ジャパン・フェスティバル”や、国連本会議場における“国連デー・コンサート”などの公式行事参加を伴うワールド・コンサート・ツアーを実施して大成功を収めた。現代作品への意欲的な取組みと長年の業績がみとめられ1990年音楽之友社賞、1993年京都音楽賞大賞を受賞。1994年秋山和慶の音楽監督就任30周年と第400回定期を記念して、シェーンベルク歌劇『モーゼとアロン』(邦人による日本初演)を上演して絶賛を博し、その成果に対し1994年度毎日芸術賞、文化庁芸術作品賞が授与された。1996年5目楽団創立50周年を記念してヨーロッパ公演を行う。1996年度モービル音楽賞を受賞。

演奏曲目

■シューベルト:「ロザムンデ序曲」
1823年、シューベルト(1797−1828)は26歳のときに女流作家ヘルミーナ・フォン・シェジーのロマン劇『ロザムンデ』(正式には『キプロス島の女王ロザムンデ』)の付随音楽を短期間で作曲するように依頼される。そこで、シューベルトは2つの舞踊音楽と3つの間奏曲を含む9曲を書き上げた。ところが、序曲を作る時間がないため、初演の際には急場しのぎに、1821年に作曲した歌劇『アルフォンソとエストレッラ』の序曲を転用し、幕を開けた。劇はストーリーが不評でわずか2日間しか上演されなかった。その後も、シューベルトは『ロザムンデ』のための序曲は作曲せず、1820年に作曲した『魔法のたて琴』の序曲を編曲し、『ロザムンデ』の序曲と名付け、出版した。そのため、今日においても『魔法のたて琴』の序曲を『ロザムンデ』の序曲としている。音楽はアンダンテ、ハ短調、4分の3拍子の序奏とアレグロ・ヴィヴァーチェ、ハ長調、2分の2拍子の主部からなる。シューベルトの巧みな楽器法の妙と清純な美しい旋律をたたえ、叙情性を豊かにもった曲。

■F.メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調
『メンコン』の愛称で親しまれているこの協奏曲は、メンデルスゾーンの代表作であると同時に古今のヴァイオリン協奏曲の中でも最も人気の高い名曲です。メンデルスゾーンが常任指揮者をつとめていたゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートマスター、ダヴィットのために書かれ、彼の助言をとり入れて6年の歳目をかけて完成した作品です。メンデルスゾーンらしい気品のある古典的形式美に、優美なロマン的情緒、華麗なヴァイオリン技巧が加わり、それらが一体となって調和しています。アレグロ・モルト・アパッショナート、ホ短調、ソナタ形式の第1楽章。アンダンテ、ハ長調、三部形式の第2楽章。アレグレット・ノン・トロッポ、ホ短調の序奏に、アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ、ホ短調、ソナタ形式の主部が続く第3楽章の全曲が切れめなく続けて演奏されます。

第1楽章 アレグロ・アバショナート
     序奏がなく、いきなり独奏ヴァイオリンに第1主題が出る。これに対する第2主題は優美なト長調である。
第2楽章 アンダンテ
     ファゴットの口音で第1楽章とつながっている叙情的な音楽。3部形式。
第3楽章 アレグレット・ノン・ドロッポーアレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ
     第2楽章の中間部にもとづく序奏にはじまる。主部はソナタ形式で華やかにヴァイオリンの技巧をくりひろげる。

■べートーヴエン:交響曲第3番 変ホ長調『英雄』
この第3番こは、広く知られた挿話があります。ぺートーヴェンが、ナポレオンの皇帝即位の知らせを耳にして、「ボナパルトヘ/ルードヴィッヒ・ヴァン・べートーヴェン」という献辞を記した「交響曲第3番」のスコアの表紙を、引き破ってしまったというものです。そして、「ある英雄の思い出のために」とベートーヴェンが明記し、「シンフォニア・エロイカ」と、イタリア語で献辞を書き改めたもので、彼が最も愛着を持っていた交響曲です。

第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ
     チェロによる男性的な第1主題一エロイカ・モチーフといわれている一と木管、弦群による第2主題で提示部は構成され、展開部とコーダは非常に長大なものとなっています。
第2楽章 アダージョ・アッサイ『葬送行進曲』
     きわめて厳粛な表情を持った葬送行進曲で、中間部ではフーかが使われており、今日でも国葬の折などにどこの国でもこの楽章が演奏されています。
第3楽章 スケルツォ・アレグロ・ヴィヴァーチェ
     弦のスタッカートとオーボエの旋律、そして中間部のトリオではホルンの3重奏が印象的。
第4楽章 アレグロ・モルト
     短く激しいパッセージに続いて、弦のピチカートで主題の低音が示され、32小節を要して主題全体が構成されています。この首題はべートーヴェンが特に愛好したもので、「プロメテウスの創造物」などにも使われており、また主題以下は8つの変奏曲が続き、最後の変奏は複合変奏で壮麗なクライマックスを築き、全曲を閉じます。この変奏曲の中でソナタ形式、フーガが用いられる等、この楽章は変奏曲形式、ソナタ形式、フーガの3形式が組合わされていることになり、この構成は晩年の大傑作「第9交響曲」のフィナーレの下敷きになっております。

 

 

 

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