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曲目紹介

 

組曲「水上の音楽」より(ハーティ版)           ヘンデル(1685〜1759)

ヘンデルは、バッハと並ぶバロック時代最後の大作曲家として知られる。彼は、ドイツに生まれ、ハンブルク、イタリアで活躍した後、ハノーヴァー宮廷楽長を経てイギリスに渡った。当時のロンドンでは、夏の夕暮れにテムズ河で着飾った貴族たちが河を上下したり、晩餐会を開いたりといった舟遊びがしばしば行われていた。こういったときに演奏するために作られたのがこの「水上の音楽」である。しかし、この作品は彼の自筆草稿が完全な形で残されていないことなどから、作曲時期や内容は諸説に分かれており現在でもはっきりと定まっていない。「水上の音楽」は楽器編成と調性を異にする3つの組曲からなり、ヘンデルの作品の中では最も聴く機会の多い曲の一つであるが、演奏会で3つの組曲を一度に耳にすることはまれで、そのうち1つとか全曲より抜粋して演奏されることが多い。

  アレグロ
  アンダンテ
  アレグロ デチーソ

 

歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」から「精霊の踊り」  グルック(1714〜1787)

ドイツに生まれウィーンでその生涯の大半を過ごしたグルックの、今日最も有名な作品がこの「オルフェオとエウリディーチェ」である。これは、ギリシャ神話に登場する竪琴の名手オルフェオとその妻エウリディーチェとの悲しい運命を描いたオペラである。グルックは、過剰な技巧を排し、音楽とドラマの一致を目指したオペラ改革の宣言を発表、その現実の成果がこの作品に結実している。「精霊の踊り」は、「オルフェオとエウリディーチェ」の第2場第2章のはじめ、晴れやかな野原での極楽の精霊たちが踊るときに奏でられる音楽であり、様々な編曲等によってこの部分だけが単独で広く親しまれている。

  

−楽器解説−

 

交響曲第7番(旧第8番)口短調「未完成」から第1楽章    シューベルト(1797〜1828)

シューベルトは、初期ロマン派の代表的な作曲家の一人であり、「歌曲の王」とも呼ばれ短い生涯の間に600曲以上ものドイツ・リート曲を作曲した。また、器楽の分野でも歌謡的旋律と和声の微妙な表現力に富む数多くの作品を作曲している。その中でも最も有名なのがこの「未完成」である。彼が第3楽章スケルツォの途中で作曲を中断したためにこの名があるが、長らく埋もれていたスコアを指導者ヨハン・ヘルベックが発見、作曲後半世紀近くたって初演されたという作品である。内容的には2つの楽章で完成しており、歌謡的な主題と転調の妙、また音色や音強の独特な扱いの点でシューベルトのロマン性の完全な発現を見ることができる。なお、この作品は従来交響曲第8番として演奏されてきたが、最近は交響曲第7番として演奏されている。これは、シューベルト生誕200年にあたって作曲した年代順に洗い直した際、従来第7番目を与えていた未完のホ長調D729に対して演奏できない作品に順番を与えても意味がないことから、この番号を削除、それに伴って従来の交響曲第8番「未完成」は繰り上がって第7番として演奏されることになったものと思われる。

バレエ組曲「白鳥の湖」より                チャイコフスキー(1840〜1893)

ロシアが生んだ最も偉大な作曲家であるチャイコフスキーの音楽的功績は、特に交響曲とバレエ音楽において顕著である。この「白鳥の湖」は、チャイコフスキーの第1番目のバレエ音楽であり、バレエと言えば「白鳥の湖」とだれもが思うほど世界に人々に愛され続けてきた。悪魔ロットバルトによって白鳥に変えられた美しいオデット姫を、王子ジークフリートが救い出す、というストーリを持つ全部で50曲ほどからなる長大なバレエから次の4曲が演奏される。

  情景
  ワルツ
  四羽の白鳥の踊り
  チャルダッシュ

 

 

 

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