観天望気
(気象についての言い伝え)
船の運航は、天候等により大きく影響される。海はひとたび荒れると悪鬼のように暴れ回って船をほんろうするが、静穏になると女神となって船に大きな恵みを与えてくれる。
当本部水路部では、このような海に係わりのある人々の航海・漁業等の安全の一助とするため、管内各地の漁業協同組合等を通じて気象に関する言い伝え(ことわざ等)を収集し、それらを基に本書を編集した。
言い伝え(ことわざ等)は、古くから海と生活を共にしてきた土地の人々が、長い間の経験を経て子孫に言い伝えてきた貴重な財産である。
本書の編集にあたり、これら言い伝えの中に実に含みのある言葉が数多くあることを再認識した。
本文の構成は、最初に愛知・三重両県(四管区内全域)にわたって言い伝えられているものを、次いで索引図に示したように伊勢湾北部、伊勢湾南部、伊勢湾口付近、三河湾及び熊野灘の順に各地域毎に配列し、更にそれぞれの地域毎に風、雲に関係するもの、雨に関係するもの、朝焼け、夕焼けに関係するもの等に分類した。
表現(言い方)は少し違っているが、同意義と思われるものについては、まとめて一括記載した。
また、若干の説明が必要なものについては、注釈を付記した。
なお、言い伝えの後に付記した( )内の地名は、その言い伝えがその地方で使用されていることを示したものである。