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逃げ足の早い事に驚きました。

氷原上に殆ど姿を見掛けません。もっとも白熊に狙われ、イヌイット達の狩猟の対象として狙われては、のんびり氷上での昼寝を楽しむ訳にもいかないナと納得しましたが、矢張り南極の「あざらし」の方が幸せだなと思います。犬の南極での生活も難しくなったとの事で、犬の食料としての必要がなくなれば、生命の危機に怯える事なく、のんびり昼寝を楽しんで欲しいと思います。

 

10. 南極でのスポーツ

野球…宗谷対観測隊 特にボールを黒く塗ったり、赤く塗ったりする訳でもありませんが、ボールが濡れて滑ること、雪で足が滑ること、暴投によるデッドボールが多くなること等。第一次では宗谷の1勝

バレーボール…第三次 ビセットされた訳でもありませんが、オビ号が昭和基地訪問かなんかで、「宗谷」と一緒に行動したことがあります。その時氷上にネットを張り、6入制バレーをしました。先方は男女混合で羨ましくそのせいで負けたと思います。私は6入制バレーは初めてでした。

アメフト…「バートンアイランド」の連中が、ビーバーの飛行場でモンロー張りの雪だるまを作り、編上靴をボール代わりにしてアメフトを楽しむ。

 

11. 南極に国境なし 子供達に夢を

飽くまでも私見ですが、東西冷戦の厳しかった当時、事南極に関しては米・ソの協調が有った様に私には思えます。

イギリス・ノルウェーなど南極の老舗が、アメリカ・ソ連(当時)の新入りの圧力により、領土占有権が凍結されたことが、現在の平和な国境の無い南極での観測が、維持されてきたと確信します。

南極の自然保護や領土権主張の凍結、軍事利用の禁止を定めた南極条約を補うため、1991年26ケ国が環境保護に関する南極議定書を採択しました。

日本も5月に国内法が成立し、今年中には締結する見込みです。未締結の日本とロシアが締結すれば議定書は発効します。ペンギンやアザラシの体内から、南極にあるはずのない重金属や細菌などが検出されたというような報告を聞くと悲しくなります。通信にしても電話・ファクシミリ・電子メールなどで自由にやりとりしていますが、銚子無線局を経由した電報だけで日本と結ばれていた頃の方が幸せだったような気がします。南極に限った事ではありませんが、豊かになり過ぎると夢も感激も薄くなって終うように思います。敗戦後の国家財政の貧しかった時、敢えて浬観測に踏み切ったのは、日本の子供達に夢と希望を持たせる事が、大きな目的の一つであった事を忘れてはいけません。

 

 

 

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