「グローバライゼーションの課題とその克服」
は し が き
財団法人世界平和研究所は、平成9年12月8日から11日の間、東京に おいて、「グローバライゼーションの課題とその克服」と題する国際会議及びシンポジウムを開催した。
国境を越えた企業活動の進展などに象徴されるグローバライゼーションが進行している。グローバライゼーションには、「光」と「影」の両側面がある。「光」 としては、規制改革や競争の促進、積極的労働市場政策の推進などにより吏なる成長と雇用がもたらされうる。このメリットを享受するためには、先進各国 には国内改革が求められる。一方、国際貿易や投資の促進も新たな成長と雇用をもたらしうるが、これを実現するには、多角的貿易投資体制の維持強化が必 要となってくる。反面、「影」としては、先進諸国においては、改革に適応できない失業者などが大量に生み出され、社会的一体性が損なわれる恐れがある。 また、世界的にみても、市場経済へのテイクオフが全く実現できていない国々や、市場経済への移行の展望が十分に開けていない国々がある。これらの国々 はグローバライゼーションから疎外されてしまう可能性がある。このような 「影」の部分にも適切に対応していく必要がある。以上のような観点から、? グローバライゼーションのメリット享受のための先進国における国内改革、?グローバライゼーションの中の多角的貿易投資体制、?先進国における社会均 一体性、?グローバル・マージナライゼーション、の4つのテーマの下、国際会議を開催し、グローバライゼーションの課題とその克服について討議した。
2日間にわたるクローズド・セッションでの討議の後、その成果を取りまとめ一般聴衆に報告するための公開シンポジウムを開催した。そこで、本報告書は、公開シンポジウムの内容の報告を中心とし、発表論文等の関連文書も添付したものとなっている。
なお、本国際会議・シンポジウムの開催は、日本財団の補助によるものである。