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は し が き

 

昨今はアジアの時代といわれるほど、アジア諸国は活気を見せている。その反面、1997年後半の通貨急落に象徴されるような社会経済体制の弱点は残っている。しかし、わが国が戦後荒廃から急速に立直り米国に次ぐ経済大国に急成長したのを追って、アジアNIESと呼ばれる国々が急速に力をつけ、さらに冷戦が終わって経済が文字通りグローバル化してきたのに伴って、巨大な中国、および南アジアの国々が目覚ましく世界市場に登場し、いまや大競争時代の重要なブレヤーになったことは確かである。かつて、1947年に、国連によってECAFE(アジア極東経済委員会)として発足したアジアの地域協力スキームは、1974年にはESCAP(アジア太平洋経済社会委員会)に拡大改組されたが、その規模は今では世界的に拡大されて、1995年11月にはAPEC(アジア太平洋経済協力会議)大阪会議が開催され、1996年3月にはASEM(アジア欧州首脳会議)がアジアと欧州との間の経済協力の場を築くものとして新たに(バンコクで)開催されるなど、東アジアに対する認識は深まっている。

よく言われるようにアジアは決して一つではなく、それぞれの国で民族構成も、言語、文字、風俗・習慣も異にしているが、発展過程にあるそれらの国々は、かつてわが国がそうであったように、行政がその発展の主導的役割を果たしていることはいずれの場合も同様で、その点、従来からアジアの国としていち速く近代化を成し遂げたわが国の経験に最も注意を払い、学びの目を向けてきたことはよく知られている。そして、わが国でもまた、一西洋と東洋との懸け橋の役割を自覚しながら一これらアジア諸国の関心に応えるべく、1960年代半ば以来約30年余、行政・公務員制度に関する研修員の受け入れはもちろん、人事行政に関する技術指導など、できる限りの協力に努めてきた次第であった。

しかし、近年のようにアジアが世界で最も活気をもった時代となってくると、これらアジアの国々との従来にも増して一層密接な交流を行っていくためには、唯これらの国々にわが国の経験を伝えるだけでなく、これらの国々の行政・公務員制度等に関する理解を積極的に深め、効果的に対応してゆくことが今の時代の一層の要請となっている、と考えられるのである。

本調査研究は、このような視点からわが国と密接な関係を有するアジア諸国の国家公務員制度を調査するものであり、平成7年度より3カ年間、毎年対象国を代えて調査した。初年度の南アジア3カ国(インド、パキスタン、ネパール)、2年度のASEAN(東南アジア諸国連合)諸国のうちの、シンガポール、マレーシア、フィリピンに引き続き、本年度はインドネシア、タイ及び台湾の2カ国・1地域についての調査結果をとりまとめたものである。調査は、主に対象国・地域の公務員制度に関する資料の収集分析及び公務員制度を所轄する機関の担当者との面談により行った。基本的には公務員制度全般にわたって調査、記述したつもりであるが、項目によっては資料の入手困難なものもあり、各編の間で記述項目に若干の異同が生ずることも止むを得ないこととなった。ご容赦を願いたい。これら2カ国・1地域の国家公務員制度を理解する上で参考となれば私達の喜びこれに過ぎることはない。

本件調査及び本報告書の取りまとめにあたっては、人事院管理局国際課長鈴木明裕氏を委員長とする別掲の委員及び幹事の方々のご助力をいただいた。また、各国の調査にあたっては、直接訪問した別掲の機関のほか、在京大使館、在外日本大使館にも多大のご協力をいただいた。ここに厚くお礼を申し上げたい。

最後に、この調査研究は、(財)日本船舶振興会の補助事業として実施されたものであり、同会の援助に対してここに深甚な謝意を表する次第である。

平成10年3月

 

財団法人 日本人事行政研究所

理事長 田代 空

 

 

 

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