日本財団 図書館


073-1.gif

 

多桑-父さん

1994年 144分 カラー ヴィスタ 龍祥影業有限公司

 

多桑

A Borrowed Life

 

073-2.gif

 

1952年生まれ。苦学しながら学生時代から文筆活動をはじめ、大学在学中の77年から小説家として活動。脚本家としては『香火』(79、徐進良監督)でデビュー。80年中央電影公司に入社。81年、『同班同学』で第18回金馬奬最優秀脚本賞を受賞。台湾ニューウェーヴを代表する脚本家として活躍。侯孝賢監督とは、『坊やの人形』(83)以来、コンビを組んでおり、なかでも『恋恋風塵』(86)は彼の自伝的色彩が強いといわれる。『海辺の一日』(83)、『坊やの人形』(83)、『客途愁恨』(89)などをはじめ、65作品以上にも及ぶ多数の脚本を手がける。94年『多桑-父さん』で監督デビューを果たし、さらに97年には第2作『太平・天国』を発表。映画、CM、ラジオなどへの出演多数。

 

解説

 

“多桑”とは、日本語の父さんに漢字を当てた台湾語である。日本統治時代に日本人として育った世代は、戦後の国民党支配の時代に大きな疎外感を感じてきたという。戦後も日本文化に憧れ続ける彼らは、反日教育を受けた新世代からは時代遅れとみなされたのである。侯孝賢作品を始め、多くの台湾ニューウェーヴ作品に脚本を提供してきた呉念真眞が監督デビュー作として発表したこの作品は、そうした世代の一人であった実父の物語であり、“かつて日本人だった父”へ捧げる鎮魂歌でもある。多桑という台湾語はそれを象徴するかのようである。この映画は台湾では父の日に封切られ、多桑と同世代の観客が詰かけたという。この作品の中で多桑が観に行く映画は岸恵子主演の『君の名は』である。ここでは台湾語の活弁がついているが、その声は呉監督の盟友で『多桑』の製作を担当した侯孝賢である。また全編にわたるナレーションは呉監督自身による。

 

073-3.gif

 

073-4.gif

 

キャスト

林清科(父) : 蔡振南 ツァイ・チェントン

母 : 蔡秋鳳 ツァイ・チョウフォン

文健/幼年期 : 鐘侑宏 チェン・ヨーホン

文健/少年期 : 程奎中 チェン・クェイチョン

 

第15回トリノ映画祭グランプリ

第35回テサロニキ映画祭アレクサンダー杯(=銀賞)

最優秀男優賞 (蔡振南) 国際批評家連盟賞

第31回年金馬奬観客投票最優秀作品賞

最優秀主題歌賞 (蔡振南、陳致成)

1994年台北電影奬優秀作品賞

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION