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CHRISTMAS DISHES クリスマスを彩る料理

クリスマス・パンチ
「こぼしたりしたら、私たち打ち首よ。あの人、パンチがどうしても必要なんだって、そりや頑固なの」クリスマス・パンチと呼ばれていますが、もちろんクリスマス前でも後でもよく飲まれ、大晦日のパーティーなどで丸く油で揚げたパン菓子、ベルリーナーをそえるとよく合います。パンチの出来不出来を決めるのは、何といっても念入りな準備と材料の良し悪し。安物のワインに出涸らしの紅茶では、おいしいパンチを作るのはまず無理です。とはいえボルドーの最上等を求める必要もなく、まずまずの上等ワインで十分でしょう。作り方はいたって簡単。パンチボールに砂糖250グラムを入れ、それに淹れたての紅茶1リットルを注ぎ、その後レモン3個とオレンジ4個分のしぼり汁、クローブ8個、シナモンの皮一片を加えます。かきまぜて砂糖が完全にとけたら、赤ワイン2本を注ぎ火にかけますが、絶対に、絶対に、ぐらぐら煮立てないこと!煮立つ直前に火から下ろします。最後に小鍋で温めておいたラム酒1/4リットルを注きこんで出来上がり。温めておいたグラスに茶漉しを使って注ぎます。ラム酒の代わりにコニャックでもお試しあれ!

クリスマス・プディング
「クリスマス・プディングの鑑定人として言わせてもらうなら、これに勝るのを見た記憶はないな」別名プラム・プディングともいいますが、プラムの代わりにレーズンが使われており、蒸したフルーツケーキに似ています。名前こそ“プディング”ですが、デザートではなく、あくまで料理の付け合わせとして食卓に上がります。レーズン、ドライクラン、砂糖づけフルーツ、りんごをすりおろしたもの、レモンやオレンジの皮などにオレンジジュース3/4カップを混ぜて半時間置きます。べーキングパウダー(小さじ1)と塩少々、シナモン(小さじ1)、ナツメグ(小さじ1/4)、小麦粉をふるいにかけ、ブラウンシュガー1カップ、細かくつぶしたスエット脂1カップ、アーモンド1カップ、オールスパイス小さじ半杯、パン粉1カップ、糖蜜1/3カップ、卵3個と混ぜ合わせます。これにフルーツ類を加え、バターをぬった型もしくはボウルに入れてホイルでふたをします。それを大きな鍋に入れ、半分くらいまでお湯を注いで4時間ほど蒸します。その後一旦冷やし、冷えたら冷暗所で保存。数週間前には作っておいて、豊潤になるのを待つのがコツです。プラム・プディングには占いの意味が込められており、6ペンス玉やリングを中に入れて焼き、当たった人が来年の運勢を予言したりするそうです。

鵞鳥ロースト
『ところで、下のオーブンに特大のガチョウがあったはずだが。それをいただくことにしてはどうかな?』クリスマス前の4週間は精進の時期。この精進明けがクリスマスの大ご馳走、中でも鵞鳥のローストはメインディッシュといえます。大きさは人数によって決めますが、6人前だと4キロは必要。下ごしらえのすんだものを買い求め、丁寧に洗って水分をふきとります。お腹の中に塩をふり、りんご2個と香草のマジョラムを一本詰め、糸で縫い合わせて口を閉じます。これで準備は終わり。胸を下にして天板に置き、1/4リットルの熱湯を注ぎます。それを予め熱しておいたオーブンに入れ、度々水をかけながらゆっくり焼き上げます。1時間程で裏返しますが、今度は天板の上に網を置いて鵞鳥を移します。鵞鳥から出た脂は取り除きますが、天板の焦げ目があまり黒くならないように、ときどき天板に熱湯を注いてください。最後の15分は水をかけず、こんがりと焼け目をつけるために冷たい塩水を満遍なく刷毛で塗ります。腿のあたりを押してみて軽くへこむようならOK。一方、天板に残っている脂を全部取り除き、人数分のソースに見合う分量の水を注いで焦げつきをきれいにこそげ取ります。そこへ生クリームと粉を入れてとろみをつけ、塩、胡淑、好みによってりんごのムースを加えて数分煮立たせると、ソースの出来上がり。糸を抜いていただく前に、皆でこんがりと焼き上がった鵞鳥を眺めるのをお忘れなく!

 

 

 

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