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第?章 調査の概要

 

(1) 調査の背景と目的

和歌山県は優れた自然景観、温泉、歴史的遺産等に恵まれた観光県であり、さらに最近は関西国際空港開港、南紀白浜空港ジェット化、JR紀勢本線の高速化、近畿自動車道紀勢線延長等広域的交通環境の整備が進展し、観光ポテンシャルは一層の高まりをみせている。

しかし、主要観光地ではマイカー観光による道路交通渋滞や不法駐車等が頻発し、観光地の魅力低下や地域の生活交通への支障をきたしている。一方、山間地域ではシビルミニマムとして路線バスが不可欠であり、これを維持するためにも観光利用の促進が重要である。

このため、公共交通機関と自家用車の適正な分担を図りながら、地元自治体の観光・地域振興施策と一体化した快適、便利で魅力的な公共交通機関の整備をすすめることが地域観光の振興と地域生活の維持、活性化のために重要な課題となっている。

他方、近年は観光行動にも変化が生じ、環境保全を観光目的化したエコ・ツーリズム、農山村体験を楽しむグリーン・ツーリズムなどの観光形態が定着してきている。これらは、自然、歴史文化資源が豊かな和歌山県にふさわしいものであり、今後の観光振興の鍵のひとつとなることが期待されるため、積極的な導入を図る必要があると考えられる。

これらの背景をふまえ、本調査は和歌山県の観光振興の方向とこれを具体化するための観光交通ネットワーク整備について検討を行い、観光の促進と地域振興を図ることを目的に実施するものである。

 

(2) 調査対象地域

和歌山県下全域を調査対象とする。なお、主要観光地を中心とする観光エリアを複数設定し、エリア内を重点的に検討することとする。

 

(3) 調査研究のねらい

本調査研究では調査の目的に従い、以下の成果を導くことを目標とする。

 

■和歌山県観光の基本的考え方

観光資源等のシーズと観光旅行に関するニーズ変化に対応した新しい和歌山県観光のテーマと整備方向

■観光エリアの形成方針

主要観光地を中心とした多様性に富んだエリアの設定と各エリアでの観光整備の方針

■モデル観光ルートの設定

広域周遊と地域内周遊、観光客の属性、季節等に対応し、ストーリー性、テーマ性にあふれた観光ルートの設定

■観光交通ネットワーク整備方針

観光ルートを形成する路線バス、鉄道をはじめとする観光交通ネットワークの構築の方向と、公共交通機関整備・利用を促進する施策の方針

 

 

 

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