第2章 地方公共団体における防災関係資料の種類と特性
2.1 防災関係資料のデジタル化の概要
1 デジタル化の定義とそのメリッ卜
本調査研究において,防災関係資料のデジタル化を次のように定義する。
? 紙媒体等で作成されている防災関係資料を電子媒体化すること。この場合,必ずしも文字(テキスト)データヘのキャラクター化のみというのではなく,画像データ化(グラフィックデータ化)して保持・保存する場合もデジタル化と考える。
? ワープロ,画像処理ソフト等を活用し,直接入力することによりデータを作成すること。この方法は,当初からデジタル化を行っていることになる。
? インターネット等の発信データを利用したり,異種メーカによる電子媒体のデジタルデータを変換・取り込み,編集・加工する作業も,デジタル化の過程と考える。
これらの方法を積み重ねることにより,防災関係資料のデジタル化はかなり進展することになる。ここで,防災関係資料をデジタル化することにより生ずる一般的なメリットを整理すると,以下のようになる。
(1)コンパクト化が図れる
防災関係資料をデジタル化するメリットとして,まず最初に上げられるのが情報資産のコンパクト化が可能になるということであろう。膨大な量となったドキュメント(資料)を管理する上で省スペース化は非常に重要な課題である。
(2)保存形式が単純で,データの劣化がない
デジタル化とは,曖昧な中間部分を切り捨てた数値データに置き換えていくことなので,保存形式を単純化できる。そのため,間違いの入り込む可能性が極めて低く,データの劣化がないのが特徴である。したがって,長期保存も可能である。
(3)編集・加工が簡単
デジタル化には,複製を作ることが容易で,必要な情報だけを取り出し,加工することができるという利点がある。そのため,個々の状況に合わせたデータの作成がより簡単にでき,データの活用範囲がより一層広がることとなる。
データの編集・加工技術は,一般的に膨大な時間と手間がかかるものであった。しかし,デジタル化することにより,蓄積したデータを短時間で簡単に有効活用することができようになる。
(4)情報管理に適する
情報のデジタル化による最大のメリットはコンピュータによる完全な管理ができることである。必要な情報の抽出のためのデータ検索,情報の共有化のためのデジタルデータのネットワークオンライン化などがコンピュータ上で容易に可能となる。
そのため,情報を手に入れるまでの過程・発信するまでの過程のすべてが時間と空間の概念をあまり意識することなく可能となる。(例:必要なデータがあれば検索し,高品質のプリントを必要なら,必要なだけ迅速に出力することが可能,今までのように必要なデ―夕が欲しいときは,本を買いに行ったり,借りに行ったりすることなくデータの入手が可能。また,プリントが必要なら印刷会社に頼む必要もなくなる。)
このように防災関係資料をデジタル化するとともに,デジタル化されたデータを共有化することにより,我々は多くの恩恵を受けることができる。
これらのことを防災関係資料のデジタル化に効果的に活用するためには,防災関係資料の特性に応じた適用手法を見いだすことが必要である。そのため,以下では,防災関係資料にはどのようなものがあるか,またそれらに上記のデジタル化手法や技術がどのように応用できるかについて,考察していきたい。