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てからやっと演習の公式発動が報告された。晴天のもとでなければPLAは演習ができないのならば、戦闘行動を意のままに行い支援する能力に確信が持てないことは明らかである。

 

13.中国は軍事力に制約があらにもかかわらず、野心的な長期的発展計画に着手している。この目的に合わせて、PLANは将来に新装備を最大限活用できるようにするために、現在保有する装備で作戦効果を向上させようとしかるべく努力している。湾岸戦争でのハイテク・ウエポンシステムの使用と協同作戦は、中国の軍事思想に特に劇的かつ継続的影響を与えた。それは統合戦訓練及び再装備をさらに重視させただけでなく、中国の近代戦遂行の認識の焦点に変化をもたらした。最近の一つの例は、1995年12月の中央軍事委員会(CMC)の会合後に見られる。それは”並外れて非常に重要”と表現された第9次5カ年計画である2010年に向けた計画を打ち出し、軍事科学研究に大きな重点を置いた防衛力建設戦略を発表した。「砂漠の嵐作戦」を引き合いに出して、上級政治局員の劉華清は科学の進歩が戦争のパターンを変化させたことを述べ、「この作戦において我々はこれまでの人海戦術(human wave)による戦争とは全く違った4つの大きな新事実を学んだ。」と認めるようになった。

 

a.航空攻撃及び正確な遠距離攻撃が決定的役割を果たし、電子戦は非常に重要な役割を果たした。一方、陸上戦闘は戦果を確かめるだけである。

 

b.攻撃の最重要目標は陸上目標や戦闘部隊ではなく、敵の頭脳と神経と言えるシステムであった。

 

c.正面と後方は明確に区別はできず、はっきりした戦線は存在しなかった。作戦は戦争の始めから全方向と縦深で行われた。

 

d.防衛は攻撃の形をとらなければならない。

 

14.劉華清はまた、情報戦における軍事革命は中国の部隊を軍隊再構築の岐路に立たせたとも断言した。モスクワでロシア軍参謀本部及び軍首脳との会議を終えたばかりの劉は、成長著しいこの部門の潜在力について、新しい考え方を見出したに違いない。

 

15.中国の軍事思想に今までより広範囲にわたり変化が起きていることはかなりはっきりしているが、戦術ドクトリン、PLANの動向あるいは訓練についての情報はほとんど入手されないので、その戦闘有効性について正確に評価することは不可能である。しかし中国のレトリックは相変わらず実体とかけ離れている。その能力と意図は若干進歩したものの未だにばらばらで、現状では沿岸から離れたところで能率的な統合作戦を実施することはできないと見積るのが妥当であろう。しかし、PLANはこのギャップを埋めようとしており、より高度な海軍作戦を実施しようとする意向が強まるにつれて演習の回数が増えているのは明らかである。これについてのかなり最近の実例は興味深い。1994年9月、PLANはそれまでで最大規模の海上演習を開始した。「東シナ海第4号」と呼ばれたこの演習にはかなりの

 

 

 

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