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広島市における環境行政の現状と課題

広島市企画総務局総合計画室長

湯 浅 敏 郎

は じ め に

 

広島市では、平成9年度に環境局を設置した。これは、それまで環境事業局で実施していた廃棄物の収集・運搬・処理、処理施設の建設及び維持管理、廃棄物の不法投棄の監視及び指導、産業廃棄物の適正処理の指導、さらには環境美化活動などの廃棄物に係る業務と、衛生局の環境保全部門で実施していた公害防止のための監視・指導・規制、環境保全思想の普及・啓発、環境影響評価の指導などの環境保全に係る業務を統合し、時代に即応した本市環境行政の執行体制の強化を図ったものである。

本稿では、本市における環境行政の現状と今後の課題等について紹介していきたい。

 

1 これまでの取組み状況について

(1)環境保全対策

本市は、中国山地を背に、緑豊かな山々や丘陵に囲まれ、太田川河ロデル夕を流れる六本の川は豊かな水量をたたえ、「水の都」と言われる独特の都市景観を醸し出している。また、多島美を誇る、波静かな瀬戸内海に面した海に開かれた都市である。

本市は、戦前・戦後を通じて、激甚な公害被害に見舞われることはなかったが、昭和40年代からの著しい人口の増加や産業経済の発展に伴う生活及び工場排水の増加のため、河川や広島湾の汚濁が目立ち始め、近海各地で赤潮が発生するようになった。

また、近年では、都市化の進展や社会生活の多様化などにより、生活排水による水質汚濁や自動車騒音などの「都市・生活型公害」が顕在化しつつあるとともに、トリクロロエチレンなどの新たな物質による環境汚染や身近な自然環境の破壊、さらには酸性雨被害などの新たな課題が生じていそう。

本市においては、このような状況に対応し、より快適な生活環境を確保するため、平成5年に「広島市環境管理計画」を策定したほか、平成7年

 

 

 

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