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識を示すものであり、理念的性格の強い条例として、環境関係条例の上位に位置する。条例の基本理念や趣旨の十分な理解を求め、責務の対象となっている関係者、市民には環境にやさしい日々の生活スタイルを、事業者には環境に配慮した事業活動を、そして市はすべての施策展開にあたって環境影響への配慮、良好な環境の保全と創造に努めるよう、さまざまな努力を求めている。また、環境基本条例は、総合行政の実現のために環境調整会議を開催し、環境調査の実施を求める。環境調査は、基本理念や基本施策で表明された政策とそれを具体化した基準をもとに調整を行うものであり、環境を影響を与える各種行為(計画・事業)について、早期の段階で関係部局が集まり、政策的観点から環境に配慮した当該行為のあり方を検討するもの(計画アセス)である。

 

川崎市の環境基本条例は、環境配慮をすべての行政施策の基本に置き、新たなパラダイムの下に自治体の意思決定のルールづくりを求めるものである。この理念をどうしたら具現化できるか、各々の局面ごと、一人ひとりが問われていくこととなる。

(2)「第三次中期計画」策定過程への環境配慮事項の適用(私案)

川崎市は、3年ごとに「中期計画」のローリングを行っており、平成10年度は「第三次中期計画」の策定時期にあたる。「中期計画」は、市が今後5年間で行う複合系の事業計画であり、策定過程において環境配慮を行うか一つの課題である。以下は、総合企画局と環境局の担当数名で検討した内容である。検討結果は、「総合的環境配慮手法に関する調査」としてまとめられたが、組織的にオーソライズされたものではない。

図1は、「第三次中期計画」策定過程への環境配慮事項の導入フローである。

(1)環境局は、計画策定にあたり環境基本計画との整合性を要請する。

(2)事業局は、環境配慮をしたうえで事業内容を固める。

(3)(4)事業局の提案内容に基づき、施策の最終調整を行う。

図2は、累積的影響の評価結果イメージである。各事業局が提出した事業をもとに総合的環境配慮を行い、各年次ごと、各地域ごと、環境に対する負荷の度合いを検討する。これは、人口フレーム、財政フレームと同様に、中期計画に盛り込む施策の複合的・累積的な影響を評価することである。評価の結果、環境への負荷が大きければ、実施時期の繰り下げや地域間の調整が必要となる。策定過程への環境配慮事項の盛り込みや、累積的影響評価により、環境基本条例の趣旨が「中期計画」策定時に実現されることとなる。

 

 

 

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