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大都市行政制度に関する調査研究報告書

 事業名 地方自治情報啓発研究
 団体名 自治総合センター 注目度注目度5


形燃料は、地域熱供給事業の熱源などとして利用され、札幌中心部の熱供給に貢献している。

また、産業廃棄物の減量とリサイクルを目指す「リサイクル団地」を平成6年度から他都市にさきがけて造成している。団地の規模は約23haで、建設廃材の廃コンクリートを再生骨材とする施設や建設系混合廃棄物の破砕選別を行う施設が稼動するなど、市内で発生する産業廃棄物の域内処理及び再資源化を図るための施設の設置が順次進んできている。

(2)交通問題

札幌市では、交通需要の増加に対応し円滑な都市機能を確保するため、昭和37年に将来の都市交通網計画の策定に着手し、各種の専門機関等による検討成果を踏まえて、季節や天候の影響を受けない高速度の大量輸送機関として、昭和43年に地下鉄の整備に着手した。以来、大量公共輸送機関と幹線道路網とを有機的に結ぶ交通体系を確立するための整備に努めてきたが、近年の自動車交通の増加により、大気汚染や騒音等の自動車公害が深刻な状況になりつつある。

特徴的な点は、他の大都市の自動車保有台数の伸びが鈍化する中で、札幌はトップクラスの高い伸び率になっていることである。これは、三大都市圏では既に昭和50年代から都心部では業務交通を中心とした道路混雑・渋滞の深刻化とともに、自動車が利用しづらい状態になっているのに対し、札幌のような地方都市では、道路整備が進めば進むほど利便性が高まり、自動車の私的利用による交通需要が増加することによるものである。(図5参照)

札幌市では、このようなモータリゼーションの進展に伴う問題が深刻化する前に、環境や歩行者に配慮し、公共交通を軸としたまちづくりを目指すため、平成6年度から「人にやさしい交通対策」を推進している。この対策は「地球環境保全の視点」など五つの視点で「環境」と「人」と「交通手段」の三つの調和を目指している。

具体的な取り組みとしては、公共交通機関の利便性向上のため、バスレーンの新設・拡充、乗車カードの共通化、電車停留所の新設・改修を行ったり、マイカーからの利用転換を促進するため、さわやかノーカーデーの実施、パークアンドライド駐車場の整備、地下鉄とリサイクル自転車を組み合わせたレンタサイクル事業などを行っている。また、モータリゼーションの波が早期に押し寄せた欧米諸都市の取組を広く市民に紹介し、市民とともに交通問題を考えるシンポジウムの開催や市民自らが交通問題を考えるフォーラムの支援などを行っている。

(3)エネルギー問題

エネルギーは、市民生活や生産活動など都市活動のあらゆる面に関係しており、現在の快適で便利な都市生活は、大量の化石燃料の消費に支えられている。

札幌市におけるエネルギー消費の特徴は、暖房用や自動車等の運輸関連エネルギーの消費が大きなウェートを占めており、燃料種別では灯油、軽油、ガソリンなど石油製品の消費量の割合が多くなっている点にある。(図6参照)

これらのエネルギー消費により二酸化炭素が排出されるが、市内二酸化炭素排出量を部門別にみると、民生部門が48.4%と最も多い。これは、寒冷な気候から家庭やオフィスでの冬季の暖房・給湯用の燃料消費が多いためと考えられる。次いで運輸部門が33.6%と高い割合を占め、自動車からの排出量が多いことを示している。産業部門の割合は、 13.2%と低く、消費型都市であることを反映している。(図7参照)

エネルギー問題は、オイルショックによる原油価格の高騰や供給不足といった緊急事態は別として、市民生活に与える影響が緩慢であり、間接的である。このため、原子力発電所の立地問題等でもなければ、都市問題としてよりも国策レベルの問題として取り扱われてきた。

しかし、都市は、市民にとって快適で便利でなくてはならず、また、市民は都市に対して一層の快適性と利便性を追求していくものであるが、その基礎となるエネルギー資源は有限であり、周知のとおり日本はエネルギー資源のほとんどを海外に依存している。また、大量の化石燃料の使用による二酸化炭素の排出は、地球温暖化問題も引き起こしている。

札幌市では、これまでにもごみの焼却余熱の発電・暖房等への利用、廃木材や紙ごみからの固形燃料の生産、下水の持つ熱エネルギーを利用した融雪などの取組を行っており、現状では、市民一人当たりの二酸化炭素排出量が全国平均より少なくなっているが、エネルギー問題は、北国であるがゆえに今後、さらに重要性を増していくと思われる。(図8参照)

おわりに

以上、札幌市の環境問題の概要について紹介してきましたが、最後に、今後の社会変化等を考慮した札幌のまちづくりの方向と環境問題の関係について、新し

 

 

 

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