日本財団 図書館


である。平均人口でみても、都市が13万人、町村の平均は1.1万人ほどである。しかも、今市町村特に町村の人口動態には少子高齢化という大波が押し寄せていることを軽視してはならない。中長期的に将来の市町村の姿を考えたときに、市町村の存立の基盤である人口が崩壊といってもよい現象を呈し、市町村の行政遂行能力が低下を来す結果になることが容易に予見される事態となっている。

少子傾向は既に深刻という程度を越えている。合計特殊出生率は、年々減少をつづけ、今や1.4を下まわろうとさえしている。静止人口をもたらす出生率は2.1弱であるが、この率には遠く及ばない。日本の総人口は、21世紀初頭、2007年頃から減少を開始することは既に確定した事実である。そうした中で、世界有数の長寿国である日本の高齢化はますます進む。地方の行政主体である市町村は、否応なく人口の減少に悩まされることになる。これまで市町村特に町村を中心に人口の社会減によって過疎化し、活力を失ってきたが、今や人回の自然減がこれに加わってきている。本年3月の調査によると、人口の自然減を示す市町村数は1,987団体で、全市町村数の約60%である。このような人口の自然減市町村では、その70%の団体で人口の社会減をも伴っている。市町村内における高齢者人口比率が上昇してくると、人口の減少率も年々高まってくるという相関的関係がある。従ってこのような市町村では、趨勢として人口減少が加速度的に大きくなる傾向にある。人口が減少すれば、市町村の財政規模も減少しようし、職員数も減少せぎるを得ない。市町村における行政執行能力の低下は避け難く、市町村の活力を奪ってしまうことになろう。

しかも、一方では、高齢化の進展に伴い老人の介護をはじめ福祉の問題は、最も住民に身近な地方公共団体である市町村の最重要な仕事の一つとしてその行政に占めるウエイトを増してくることは想像に難しくない。このような社会情勢の中で、しかも地方分権の進展する中で、市町村が自主的・自立的に活き活きしたまちづくりを積極的に推進していくために、現状の人口規模の市町村で果たして期待される行政運営が可能であろうか。このことを市町村自身が考えを深めていくところから合併という問題にとり組む姿勢が自ずと明確になってくるであろう。

地方分権推進委員会の第2勧告においても、地方分権の受け手であるべき市町村にあっては、自主的合併や広域行政を強力に推進するべきとの観点から、都道府県や国の役割についても方向づけがなされている。地方制度調査会においても、自主的な合併についての建議が行われようとしている。自治省としても、各方面の意見をお聞きし、今後よリー層市町村の合併が推進されるような実効ある方策をとりまとめ、地方自治・新時代に相応しい市町村が形成されるよう努力していく所存である。

002-1.jpg

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION