よる技術開発の必要性。しかしながら現在の日本造船,海運界には共通の戦略,将来ビジョンを作り,計画を立てて行く制度,システムがない。技術開発と同時に社会制度の改革も課題である。
・建造技術の一層の改革;大幅な抵抗削減船型開発,寿命予測可能な強度解析技術,究極の省力,効率化を計る設計,管理,工作技術。
情報化がドライビングフォース。
この他にも色々な技術項目があろうが,重要な事は開発の進め方にあると思う。今後多くの技術開発への取組は,造船業界単独で実施するような,タテ割り的でなく,荷主,陸運,海運,港湾業界等との,ヨコ通しの発想を持って,グローバルな体制による開発を実施する事が,より創造的な成果を生み出す事になろう。我が国で創造的な開発が得意でないのは,何も造船に限った事ではないが,今後より創造的な開発を進めて行くには,ヨコ通しの発想と長期的な視野での価値判断を持って取組むべきであり,人材の育成,社会制度の問題もある。
7 おわりに
戦前の海軍の建艦技術をもとに,戦後の我が国造船界は,船を造る技術への多大の努力により,造船王国を築きそれを維持して来ている。これからの造船界は,創造を重視して船を創る枝術開発への傾注が大切である。コンピュータ,情報・通信分野を始め,進歩著しい技術を積極的に活用し,創造的技術開発により今後の造船業界の更なる繁栄を期待したい。
最後に改めて技術とは何か考えて見る。
・一つは;世のため,人のため(地球,人類のため)
・一つは;己のため
(国のため:軍事技術,国家機密)
(グループのため:Allianceとしての技術)
(会社のため:企業秘密技術等)
「技術」は競争力であり,差別化であり,価値である。技術の価値が正しく評価され,評価する事が必要である。何れにしても「技術」は高い目標,新しい目標に挑戦することによって,生まれ,成長する。
その目標は誰が作るのか,誰が与えるのか。
日本造船・海運界に,将来への確たる目標が望まれる。