平成9年秋季講演論文概要
(1) マイクロバブルによる摩擦抵抗低減の流れ方向分布
高橋孝仁(船研),角川 明(船研),児玉良明(船研)
著者らは船舶の摩擦抵抗を低減させるためのデバイスとしてマイクロバブルに注目して研究を行っている。これまで吹き出し直後の低減効果の高い場所での研究は行われていたが,流れ方向の持続性についての検討はほとんど行われていない。そこで矩形断面を持つ流路を用いて,マイクロバブルの流れ方向の持続性についてボイド率分布,PIVを用いた速度分布との関係により検討を行った。
(2) 非圧縮性粘性流計算のための3次元非構造格子法(英文)
日野孝則(船研)
3次元非圧縮性粘性流を計算するための非構造格子法を開発した。ナビエ.ストークス方程式を,非構造格子上の有限体積法を用いて離散化し,後退オイラー法によって時間積分を行う。連立一次方程式の解法はガウス.ザイデル法によった。一方程式乱流モデルを導入することで高レイノルズ流れへの適用を可能にした。図は肥大船まわりの計算に適用した例である。船体表面と左右対称面を三角形の面で分割して得られたプリズム状の非構造格子と,船体表面の圧力分布が示されている。
(3) 姿勢変化を伴う半滑走艇のCFDシミュレーション法
折原秀夫(日立造船),宮田秀明(東大)
高速で航走する半滑走艇では船体まわりに非線形性の強い造波が生じると共に船体の姿勢も大きく変化するためその取り扱いは極めて困難である。本研究では,密度関数法と移動格子法を用いた新たなCFDシミュレーション法を開発し,船体の姿勢変化を考慮した半滑走艇の航走シミュレーションを行った。計算値と実験値の比較から,本シュミレーション法は船体まわりの波形のみならず船体の航走姿勢,抵抗係数についても正確に推定しうることが確認された。
