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2. 品質の維持と保証

 

2.1 舶用機器の品質維持と保証の重要性と必要性

船舶安全法の第1条に,「日本船舶ハ本法ニ依り其ノ堪航性(たんこうせいと読み堪航性とは船舶が安全に航海できる性質と能力のことをいう)ヲ保持シ且人命ノ安全ヲ保持スルニ必要ナル施設ヲ為スに非ザレバ之ヲ航行ノ用ニ供スルコトを得ズ」(詳細は後述する)と規定してあるとおり,舶用機器の品質は,船舶の安全運航と人命の安全確保に重大な影響を及ぼすものである。従って,舶用機器の製造・修繕・サービス等に従事するものは,その品質の維持と保証の重要性を認識し,使用者の安全確保のために努力しなければならない。

 

2.2 品質管理の意味

製造業者は,顧客と約束した品質と数量と,そして安全な製品を,納期に間に合うように,顧客に提供する任務をもっている。また製造業者は,企業体として,適正利潤をあげて会社を永続させ,従業員のため株主のため,そして企業活動を通じて社会に貢献する義務をもっている。

この二つの任務を同時に果たすためには,最も経済的に最も効果的に製品をつくりだして,顧客の要求を満足させることが必要である。そのために製造業者は日夜努力しているわけであるが,この企業活動を生産管理といい,またこの生産管理の中で特に良質・廉価・安全な製品をつくるための管理活動を品質管理(Quality Control略してQC-戦後,生まれた用語)という。

品質管理の基本的考え方を一口でいえば,不良の予防と不良の早期発見,早期対策とその再発防止である。したがって従来の検査が,できあがった製品の選別による品質保証を意図していたのに対して,品質管理は製品がつくりだされる過程を対象にした品質保証であるといえる。具体的にいえば製造の基本的要素である材料(Material),設備・機械(Machine),作業者(Man),製造方法(Method)-これを4つのMという―をうまく管理して,不良を計画的に予防し,また不良を早期に発見し,あるいはそのデータをもとにして,二度と同じ不良が発生しないように再発防止のアクション(是正処置活動)をしようという考え方である。

そして後述する社内標準化を土台にして,また事実(データ)に基づいて,しかもデータはばらついているので, これを統計的方法を活用して精度の高い情報にして,品質の維持向上のために,管理活動を進めていこうということである。

 

 

 

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