(vi) 官能検査
感覚によって品質を判定する検査で、材質を判定する火花試験、異臭、騒音等、試運転検査にもこの官能検査が行われる。また塗装色、鋳肌、仕上面等視覚や触覚による検査も仕上げ検査では必要である。この検査では特に検査員の資質に影響されやすいので、その選定と訓練が肝要である。
(2) 検査数量
(i) 全数検査
全数検査はロットの全数について行う検査で、全数検査を行うことによって、製品を確実に保証することが出来る。船舶安全法で規定する認定物件については、品質保証の立場から全数検査が要求される。
(ii) 抜取検査
抜取検査とは「ロットから試料を抜取って試験し、その結果を判定基準と比較して、そのロットの合格、不合格を判定する検査」である。この場合ロットと試料の大きさの関係、ロットからの試料の抜き取り方法、判定基準は経済的な要求に基づき統計的手法によって定められる。抜取検査の基本は、
? 検査対象の製品または部品がロットとして処理できること
? 合格ロットの中にもある程度の不具合品の混入がありうること
? 試料の抜き取りがランダムにできること
? 品質基準が明確であること
等が挙げられる。このことから認定物件は?の「ある程度の不具合品の混入がありうること」から重要部品等については抜取検査を採用しないのが原則である。
(iii) 無検査
無検査はサンプルなどの試験を直接おこなわないで品質情報、技術情報などに基づいてロットの合格、不合格を判定する検査であって、製造工程が安定状態であり、また技術的にも十分検討され、使用実績も良好な場合に適用されている。ただし、無検査を適用している場合でも長い期間には製造工程の状態が変わり、品質が変化することもあるので、完全に検査を実施しないのではなく、安定状態が維持されているかどうか、定期的にチェックすることは勿論必要である。ただし認定物件の重要部品についてはこれをあてはめることは出来ない。また5.3.2項で述べた検査の経済性からみた無検査も認定物件にあてはめることは出来ない。
(iv) 初品検査
図面が変更になったり、また製造工程が変更になるなど製造の条件が変更になった場合、