2. 航行区域と従業制限
(1) 航行区域
船舶の安全航行のためには、船の大小、構造及び設備に応じて、航行する区域を限定する必要がある。そのため、初めての定期検査において航行区域を定め船舶検査証書に記載される。
航行区域には、遠洋、近海、沿海及び平水の四種の区域があり、それぞれの船舶の種類、構造、設備等の技術基準のほか、船の長さ、速力を標準として決定される。
平水区域 湖、川および港内の水域と、比較的に平穏な海面である特定水域。
沿海区域 北海道、本州、四国、九州および附属諸島の海岸から20海里以内の水域とこれに準ずる特定水域。
近海区域 東は東経175度、南は南緯11度、西は東経94度、北は北緯63度の線により囲まれた水域。
遠洋区域 すべての水域。
図3を参照のこと。
(2) 従業制限
漁船の場合は、その業態が一般船舶と異なるため、航行区域の代わりに漁業の種類によってその構造および設備等の要件を定めている。これを従業制限といい、第1種、第2種、第3種の3種に区別されているが、操業水域と漁業の種類を併せて考慮したものである。
第1種 主として沿岸の漁業で、操業日数も短かく比較的荒海でない漁場で操業する漁業。
第2種 主として遠洋の漁業で、長期間にあたる操業が可能であり、漁船の耐航性や安全設備等を十分に確保する必要のある漁業。
第3種 母船式漁業の母船、工船や漁業練習船、漁業指導船等の特殊な漁業に属する業務を行うもの。
また、小型漁船では、次の2種類の従業制限に区分される。
小型第1種
1. 採介藻、定置、施網、曳網、小型捕鯨等の各沿岸漁業。
2. 前号及び小型第2種の指定漁業を除く本邦の海岸より100海里以内の海域で操業する漁業。
小型第2種
1. 鮭・鱒流縄、同延縄、鮪延縄、鰹竿釣等の遠洋近海漁業(ただし、操業海域、船の大きさにより適用)
2. 上記各漁業以外で100海里以上の海域で操業する漁業。