第4章 実船航海試験に関する調査検討
4.1目的
1995年8月に実施したロシア、ムルマンスクシッピング社が所用する多目的耐氷貨物船SA-15型をチャーターし第1回目の実船航海試験を行い、数々のNSRに関する知見が得られた。商用航路としての評価を行うためには外国船籍の商船を試験的に航海させロシア政府が制定しているNSRに関する法的な規制、砕氷船によるエスコートサービス、氷況情報の提供、保険などの諸条件を具体的に内外の海運関係者に提示しNSRに対する関心を喚起するとともに、INSROP Phase?で実施している航行シミュレーションの検証データを補足することが必要であるとの立場から、外国船籍の商船を用いた実船試験の検討を行った。
本調査に当たり下記の海外出張を行い情報収集を行った。
第1回 : カナダ船社の調査
訪問先:FEDNAV社(カナダ、モントリオール市)
日時:平成9年6月2日〜6月6日
出張者:堀内(日本郵船株式会社、保険チーム)、亀崎(NKK,エンジニアリング研究所)
第2回 :ロシア関係者の調査
訪問先:ロシア中央海洋調査設計研究所(CNIIMF)
日時:平成9年9月9日〜9月15日
出張者:丸山(SOF,第一調査部、調査役)、大川(SOF,第一調査部、係長)
4.2 傭船候補
候補の条件として?西側の船であること、?貨物船であること?耐氷構造を有することから傭船対象はカナダFEDNAV社の貨物船あるいはフィンランド・ロシアの合弁会社が運行している20、000トンクラスのタンカーに絞られる。日本船籍の対象船は皆無である。
'97年6月3日のFEDNAVとの打ち合わせ結果、第一候補として考えたM/V Arctic(CASPPR CAC4,OBO)は既に傭船スケジュールがタイトであり傭船不可能と判断しHandy size bulker であるM/V Fedral Franklin、M/V Federal Baffinを第一候補と考えた。主要目を表4.2.1に示す。