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3.2.4 船体設計

(1) 設計方針

船型の設計に当たっては、航路条件に対する各種性能を勘案し、これらの性能が最適になるように船型を決定する必要がある。本研究では、前述の様に航路を日本〜ハンブルグ、船種をバルクキャリアーに設定したが、氷中と開水中の性能のバランスをどう設定するかがポイントとなり、開水中の航路が氷中より長いこと、さらに運行経済性に関してスエズ運河廻りとの比較対象となること、耐氷船舶と言えども単独砕氷を行うこと等を考慮し、単独砕氷航行時の砕氷能力を平成7年度に開発した船型(参考文献3.2.5)程度に維持しながら、開水中の速力性能を向上させる船型を目標として設計を行った。具体的には、平水中の性能及び氷中の両方の性能を高く評価されたDd船型をベースとし、これを最適化する設計方針とした。平成7年度の事業報告書(参考文献3.2.5)に示された評価表で、各船型の評価はそのままとし、平水中推進性能及び波浪中性能の重みづけを今回の趣旨に合わせて大きくした結果を表3.2.8に示す。リーマ付き船型Drdは氷中での性能は最も優れているが、開水中では速力性能が劣化するので採用しなかった。

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ここに再度Dd船型の主な特徴を示すと、

(a) 船首角は、極端に小さくすると氷中癒着の可能性があるため、最新の砕氷船の代表的な角度である25度を採用した。

(b) 船首付近での砕氷性能を確保するために、母船型に比べ喫水線のWater Line Angle(α)を大きく、Spread Angle(γ)を小さくした。

(c) 船首肩付近で氷盤が大きく割れるのを防ぐため、肩付近までButtock Angle(β)を小さく保った。

(d) 氷中旋回性能の向上を図るため、船首肩部でSpread Angle(γ)を小さくすると共に舷側部にナックルを設けた。

 

新船型は、具体的には以下の設計方針の基で概略線図を製作しフェアリングを行った。

(a) Dd船型をタイプシップとして船長、幅、喫水を拡大する。

(b) 砕氷抵抗の増加を防ぐため、船体平行部前方の喫水線長さをDd船型と同一もしくは

 

 

 

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